2012年12月30日日曜日

免疫事故 ②

◆ あわてる免疫


病気の原因は 複雑多岐 千差万別 である。

なぜ、自分を守る免疫が、自分を攻撃するのようなことになるのか。

その原因は、免疫に攻撃されてしまう自己と、
攻撃する免疫の両方に関係している のだろう。

以下には 複雑怪奇な 自己免疫疾患についての
比較的納得しやすい 考え方=理解の仕方 をまとめておく。

この ページだけ読めば(他のところは) 読まなくてもよい。



前回も書いたように、 自己免疫性疾患の原因 について最も妥当な解説をしているのは<メルクマニュアル家庭版>です。 (ためし、に

自己免疫疾患の ページを 当ってみて下さい。)

今のところこれ以上の、 <説得力のある説明>をみたことがない。



以下のような4つのケースが書かれている。 このうち、2と3は同じことを言っている。 

たまたま、生体物質のような異物が侵入したり、生成したりすると、免疫システムがすぐに刺激を受け、生体物質や細胞をとらえて破壊し始める。わずかに変化した自己を容赦なく攻撃するということである。免疫の感受性が異常になったと言えるかもしれない。

 

2の説明は幅広く、一般的な解説として納得できるものである。




1. 正常な状態では免疫システムには見つからないはずの物質が、事故や病気で血流に放出された場合。 たとえば、眼を強打すると眼球中の液体が血流中に放出され、この液体が免疫システムを刺激して攻撃を引き起こす。


2. 体内の正常な物質や細胞がウイルス、薬、日光、放射線などによって変質した場合。 変質した物質は免疫システムには異物とみなされる。たとえばウイルスは体内の細胞に感染して細胞を変質させ、その細胞が免疫システムを刺激して攻撃を引き起こす。


3. ある体内物質に似た異物が体内に侵入した場合。 免疫システムは見分けがつかず、異物だけでなくその体内物質も攻撃してしまう。


4. 抗体の産生をコントロールする細胞、たとえば白血球の1種であるBリンパ球が機能障害を起こし、正常な体内細胞を攻撃する異常な抗体をつくる場合。 



要するに、自己免疫疾患のはじまりは、異物の刺激にあわてて、適切な抗体を作るゆとりがなくなってしまう(強すぎる抗体)状態 であると言えます。


2012年12月27日木曜日

免疫事故 ①

◆ 攻撃的な免疫


 

ワクチンは人類が開発した画期的な医薬品であり、免疫作用を巧みに利用している。

すなわち、病気の原因となる病原体を弱毒化して病原性をなくし、安全な抗原として体に入れ、免疫を活性化してのぞみの抗体を作らせるものである。

病気のあるところ、ワクチンの助けあり、である。


もともとは、E. ジェンナーがウシの病気(牛痘)を利用して成功した天然痘ワクチンに始まり、BCG、ポリオワクチンなどのワクチンなどではその恩恵を受けていない人はいない。

BCGはもはや病原性がなくなり、抗原性だけを示す大変優れたワクチンになっている。しかし、すぐれものばかりでないのがワクチンの怖さであることを、以前のコラムで強調した。

 

 

外敵から身を守る基本としての免疫機能では、自分と異なる外敵(異物)を抗原とみなし、抗体という武器を作って反撃する、これを抗原抗体反応と呼ぶ。この免疫機構こそが、病気から身を守る自前の武器である。免疫が、タイムリーに働いて、外敵をやっつければくすりはいらないし、癌細胞もやっつけられる。

 

 

しかし、この便利な免疫が何かの原因で、壊れてしまうと、癌やさまざまなやっかいな病気になる。その総称が、以前このコラムでも取り上げた、自己免疫疾患である。




感受性の高い免疫が体に入ってきたウイルスをやっつけようとして、ウイルスが感染した臓器までも破壊してしまうような 過剰攻撃をするのが自己免疫疾患と言うことができる。
具体的な病名として有名なものは、膵臓で起こる1型糖尿病、甲状腺で起こるバセドウ病や橋本病、膠原組織で起こる膠原病やリウマチそして、全身性エリテマトーデスなどがある。
(過去のコラム: 自己免疫疾患、やっかいな病気 参照)


ここで改めて議論を深めたいのが、自己免疫疾患の 原因(スイッチ)である。


自己免疫性疾患の原因 について最も妥当な解説をしているのは、メルクマニュアル家庭版である。化学の目で、なぜこの病気が起こるのかをよりはっきりさせるために、このコラムではさらに探求を進めていきたい。なぜ、免疫が狂ってしまうのか、基本となる 抗原抗体反応 とはどんな反応なのかを考えていきたい。




2012年12月20日木曜日

薬害の歴史 5

◆ 薬害の失敗学


失敗から学ぶことで技術や安全は進歩する。薬害はいわば医療における失敗であるから、そこから学ぶ姿勢が必要である。

 薬害に遭わないようにする法則 をここにまとめておく。

歴史は繰り返す、しかし 薬害は繰り返してはいけない。

 

 

1. くすりにはすべて副作用があると考えて利用する。

 

2. 従って、くすりは長期間利用しない。

 

3. 特に、新しいくすりにとびつかない。

 

4. 医師にゲタをあずけない 強い患者でありたい。




ここで、もう一度このコラムの一番初めの話題、 患者学のすすめ① を見て頂きたい。
患者になってくすりを渡された時、くすりを飲むまえに強い患者であることが重要です。
薬害は、起こってからでは手遅れである。





薬害の歴史 4

◆ 生物製剤 (動物タンパク) による薬害

サリドマイド、イレッサ、パキシルなどはいわゆる低分子型の医薬品です。分子量がせいぜい500前後の有機化合物で、人工合成化合物です。 人工有機化合物です。


これに対して、生物学的製剤(生物製剤)と呼ばれているものが、ワクチンや血液製剤です。これらには、他の動物のタンパクが含まれています。


抗原=タンパク質=抗体のタ~ゲット

すなわち、ワクチンは弱毒化した病原菌やヒト以外の動物の成分を使って作られます。事故のあった新日本脳炎ワクチンにはウシの血清のほか、ウシ及びブタやヒツジ由来の 動物成分が使われています。

 

従って、生物製剤では免疫反応を起こしやすく、免疫かくらん物質による治療効果を無理やり期待するものもあり、予期せぬ副作用や致死的な作用が現れやすいのです。

 

血液製剤はヒトの血液が原料になっていますが、その血液が病原ウイルスによって汚染されていたために起こったのが、薬害エイズ、薬害肝炎です。



生物製剤は今後も使われ続けると思います。感染症のみならず、癌ワクチンや抗体医薬などは現代医療の最先端で使われる運命にあります。ということは、薬害はなくならない、決して根絶できない公害ということになります。






2012年12月19日水曜日

薬害の歴史 3

◆ グラクソ社(GSK) による薬害

グラクソ・スミスクライン(GSK)社は 世界有数の大製薬メーカーで、日本でも多くのくすりを売っています。

日本に、沢山の危険なくすりを持ち込んでいる、海外メーカーの代表のような会社です。

グラクソ社が日本(や世界)で問題を起こしているくすりには、このコラムでも何度も触れた、パキシル があります。パキシルはやめたほうが良いくすりの横綱です。 

パキシルの注意書きには、危険性に関する警告が出ています。


その他のさまざまな不適切なくすりの販売に対して、グラクソ社は米国FDAから、厳しい賠償の支払い命令を受けています。サリドマイドを作った、ドイツのギュルネンタール社と似たような、節操のないくすりの販売活動に走っています。

 

 

日本の製薬メーカーのコマーシャルには、くすりを飲む時は、どこのくすりかも重要なことだとアピールしているものが有りました。まさに、前科のある会社のくすりは、できるだけ避けたいと思います。

 

 

グラクソ社の最近の販売活動で注意すべきは、子宮頸がんワクチン のサーバリックスの販売活動です。子宮頸がんワクチンは、このコラムでも、その接種を疑問視してきました。インフルエンザワクチン と同じ、いらないくすりです。



 薬害の歴史は戦争と同じくらいの貴重な教訓です。


2012年12月18日火曜日

薬害の歴史 2

◆ イレッサ 薬害事件

日本で起こった薬害事件としてごく最近の イレッサ薬害  を忘れてはいけない。

 

関与した製薬会社は、プロトンポンプ阻害剤(PPI; オメプラゾールなど)の開発で有名なアストラゼネカ社である。

 

他のすぐれた製品でも有名な、優良製薬会社である。世界的に有名な、優良製薬会社が起こした薬害が イレッサ薬害 事件である。

 

イレッサは、待望された肺癌の薬である。それも、手術ができない肺癌のくすりとして登場した新薬である。しかいs、こういう新薬こそ、「神と悪魔の薬」 である可能性が高い。抗癌剤による薬害として、日本の薬害の歴史に残るものです。あせる優良製薬会社と、甘い認可をした厚生省の人為的な被害であることがよく分かる例です。


イレッサは2002年7月に、約5か月という異例のスピード審査で世界に先駆けて、日本で承認された薬である。その発売直後から、間質性肺炎などの急性肺障害による死亡報告が相次いだ。一昨年までに、819人の患者が死亡する薬害を引き起こした事件である。

 

 

サリドマイド薬害による被害の判明数は309人であるのに対し、イレッサ薬害では819人であることを、忘れてはならない。




 

2012年12月17日月曜日

薬害の歴史 1

◆ サリドマイド薬害事件

 日本で起こった薬害事件としては サリドマイド薬害 が最も有名です。

 

サリドマイドというくすりは本コラムでも、「神と悪魔の薬」 として取り上げています。もし、薬害について学びたかったら、是非この本を読んでみて下さい。薬害は、完全な人為的被害であることが分かります。


実は同じ時期には、キノホルムによるスモン薬害も起こりはじめていました。そこで、厚生省が作った資料を見てみると、日本で初めに起こった薬害は、な なんと ジフテリアワクチンによるものであったことが分かります。これは、大きな歴史的教訓です。ワクチン、睡眠薬、整腸薬(日常薬)には十分気をつけろ、ということです。

 

戦後の西ドイツのいいかげんな製薬会社が開発した睡眠薬サリドマイドは、日本では1958年から発売されました。それが、世界中でも発売されていましたが、日本では、使用停止のリアクションが一番遅れました。製薬会社と行政(厚生省)の怠慢が招いた不幸でした。

 

 

歴史的に、日本における薬害事件に登場する悪役は、越後屋=製薬会社、とお代官様=厚生省であるという構図が成り立っています。

2012年12月15日土曜日

薬害の歴史 0

薬害は止まらない公害


公害は、産業革命時のイギリスに始まったように、産業社会が生み出した化学物質による広範な人的被害である。企業が排出する有毒物質による、広範囲にわたる公害病の発生として知られている。 つまり、公害tとは 化学物質による公害病の発生 と等価である。

 

日本でもいくつかの大きな公害が知られているが、最も古いものは、足尾銅山の鉱毒事件で、明治の富国強兵政策のもとに発生した汚染である。公害は、環境汚染である。

有名な水俣病(熊本、新潟)も、イタイイタイ病も、四日市ぜんそくも、みな高度成長期の日本における、環境汚染、食品汚染による人的被害=公害病 であった。

 

最も最近であれば、やはり福島原発事故である。これは、最も危険な化学物質(放射性元素=セシウムやヨウ素)を地表にばらまいた。そのため、近隣の住民は危険を察知し、逃げた。そして細かく測定した。従って、死者は出ていない。そのためかこの原発事故に対し、誰も公害とは呼んでいない。



公害には大企業が関与し、原因となる化学物質が存在し、それが特有の病的症状を引き起こした。公害病は、化学物質による回復不能な人的ダメージである。

 

薬害(やくがい)は、くすりという化学物質による、致死的、または回復困難な公害現象であり、その背景に製薬会社と国の体制に原因があることがしばしばであった。薬害についてやっかいなことは、これがふえ続ける公害であるということである。



2012年12月14日金曜日

ワクチン死の真実

◆ 日本脳炎ワクチン死 (4)



事件や事故の被害者の方がよく叫んでいる言葉に、

「真実が知りたいだけです」

という言葉が繰りかえされる。

 

 

事故や事件に際しては、必ずと言っていいほど、都合の悪いことは隠ぺいされる。事故の詳細は分からないが、隠ぺいがあるのは事実である。

 

 

今年10月に起こった日本脳炎ワクチン死に関しいては、専門知識を持ってしても、真の因果関係を説明することは難しい。しかし、ワクチン接種後2時間で、突然死した事実は忘れてはいけない。

 

もし 自分の子供がワクチン接種で突然死するようなことがあったら、 「真実が知りたい」 という言葉を発せずにはいられない。 これまで、ワクチン接種による死者がどのくらいでているのか、しっかり調べておきたい。




いまひとつ大事なことは、ワクチンの製造法をしっかりと、調べることである。製造法に不審な点があれば、疑いを持つことが必要である。今後は、新ワクチンが始まる際にはきちんと、調べておかなくてはいけない、チェック項目になる。










2012年10月29日月曜日

化学事故 3

KCl事故報道

 

基本操作を無視した事故例がある。塩化カリウム(KCl)は塩に似た無機化合物で、それ自体では特にどうということのない化合物である。低カリウム血症になった場合、静脈注射によってKCl溶液が注射される。このKCl溶液の注射を任された看護師が起こした事故である。

 

2002年から2012年の間で,高濃度塩化カリウム製剤の事故は10件以上報道されています.その原因の多くは,「点滴ボトル内に塩化カリウム製剤を混ぜる」ところを,誤って「直接投与」してしまったことによる医療事故でした.高濃度塩化カリウム製剤関連の医療事故をいくつかピックアップし,以下にまとめました.

 

 

    事故概要:

 

報道日 2012.3  准看護師(23)が,入院中の80代の女性の低カリウム血症に対し,塩化カリウムを希釈するべきところ原液を点滴.4日後に患者は心不全で死亡.准看護師は書類送検された.

 

報道日 2007.2.  看護師(22)が入院中の60代の男性患者に誤って塩化カリウム製剤を原液のまま直接静注し,直後に患者が心不全で死亡した.病院はミスを認め遺族に謝罪し,看護師は書類送検された.

 

報道日 2006.6.24  主治医が60代の脳梗塞患者に塩化カリウム原液とビタミン剤を混ぜたのち24時間かけて点滴するように看護師(21)に指示したところ塩化カリウム40mLを側管より注入.その直後心停止.蘇生治療を受けたが5時間後心不全にて死亡.病院はミスと死亡との因果関係を認め,謝罪した.看護師は書類送検された

 

 

報道日 2004.4 塩化カリウムを点滴に混ぜて患者に投与するように指示された女性看護師が,誤って直接静脈内に投与し患者が死亡.

 

 

報道日 2002.6.  「医療ミスで入院患者を死亡させた」と,警察署に届け出があった.死亡したのは60代男性で,点滴容器から体に注入すべき栄養剤の一種「塩化カリウム」を,誤って直接体内に入れたところ,容体が急変して死亡したという.同署は業務上過失致死容疑で職員から事情聴取するなどし,医療ミスの原因や詳しい死因などを調べている.同署は男性の主治医(34)と内科の看護師(21)から,同容疑で事情を聴いている.

 

 

 

化学事故 2

実習事故


ここでは3つの典型的な事故例を挙げて、その原因の解析を行う。一つ目は、体調不良の学生が起こした事故、二つ目は分かりきった基本操作を無視した(死亡)事故、三つ目は、新聞紙上をにぎわす爆発事故の裏にある管理体制の問題点 などである。これら三つの事故は、化学反応中での暴発事故ではなく、基本的扱い、あるいは保管中の事故であるところがポイントである。十分な安全教育が行われているために、そこで触れない部分が新たな事故の起きる場になっている。

 

初めの例は、実習の出席日数が足りなかったS君が特別に予備実習を受けた時のことである。本来の実習であれば複数人がグループになっているのが、特別の補講実習であったために、S君が一人で全行程を行うことになった。

 

この日S君は朝食抜きで大学に行き、(補講実験であるため)朝から実験を始め、夕刻近くまで実験室にいた。さらに悪いことに、実験を早く終わらせようと、昼食も抜いたのである。その日の夕刻、実験も終盤にさしかかった時、廊下へ出たS君は突然、意識を失いそのまま後ろ向きに倒れ、後頭部を強打した。廊下には血が流れ、S君は救急車で近くの専門病院に運ばれた。精密検査の結果、致命的な状況には至らないことが分かったが、食事をとっていない事を初めに言わなかったために、脳神経外科的な様々な検査を受ける羽目になった。S君は傷の手術を行い、約1週間の入院後に退院した。入院中S君は、食事抜きでの1日実験がきつかったことを明らかにした。

 

これは、補講実験という特別なものであるが、研究生活に入る前の学生実習では不慣れなために、予想以上の(個人差のある)ダメージがあることを注意しなければいけない。



化学事故 1

なぜ事故は尽きないのか



化学事故は尽きない。大なり小なり、誰しもが経験するものであるが、決して気分よく話のできるものではないし、真実についてもはっきりしないことが多い。事故を防ぐためには、この辺のあいまいさを振り払いたい。事故を玉虫色にして片ずけてはいけない。

 

最近では、十分時間をかけた安全指導が行われており、実験操作法の解説書や、事故例をまとめた清書なども豊富にある。にも拘らず、事故は尽きることはない。本来、考えたくはない事故のことを意識するか、しないかの違いが、悲劇につながったことは、先の福島原発事故でも分かる。実験の初めに、事故について考える癖をつけることが、事故を未然に防ぐ最良の手立てである。

 

この章では、過去の事故例を解析し、共通の原因、端緒を拾い上げることを念頭において解説するが、特に実験者側の心理まで突っ込んで考えておきたい。これが本章の特長である。何を考えて、何を考えなかったか、を検証してみたい。

化学事故の実例とその原因については、次の節で詳しく述べるが、大まかには1.実験者側のコンデイション不良; 2.実験環境(計画)の不良 のいずれかが含まれている。ここで特に重要なことは、実験者のコンデイション作り、即ちメンタルな部分も含めた実験者の体調である。体調不良で実際にどの程度の事故になったかは、次節で解説する。どれだけ厳密な注意をしても、無理をしたり、あわてて実験すれば、もともこもないのである。

 

学習実験では、指導者側も事故のことばかりを表にだせない。正しい操作法を強調するのが常である。しかし学習実験などは特に失敗する経験を積むことも必要であり、指導者側が実験のスピードや結果のみで評価をしないような姿勢も大事ではなかろうか。失敗する実験例を記し、それを考えて正しながらやるような実験書があってもよいのではないか。





2012年10月1日月曜日

やっかいな病気 ⑬

◆ 緑内症



http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2011/10/1005.html

 

40歳以上の日本人の20人に一人が、緑内症の患者だと言われます。

緑内障 は 眼圧の病気、自覚症状がないまま進行し、失明につながります。

白内障 は 水晶体の病気です。

網膜剥離 は硝子体の病気です。

 

緑内障は失明の原因の第一位になっている点注意しましょう。



★ 眼圧検査だけでは見逃されやすいことがあります。
★ ありがたいことに、くすりによる治療が進んでいます。
★ めぐすりをさしたら、しばらくは目をとじておきましょう。




http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

やっかいな病気 ⑫

◆ 網膜剥離



目の病気は大変厄介である。

治すくすりが少ない。そして、外科手術という物理的手段に頼らざるを得ない疾患である。従って、早期発見、早期対応が一番の策である。

 

 

目の手術は痛い、そして苦しい。

網膜剥離の手術を経験したが、5分もたなかった、というのが正直な話である。

手術後の対応も大変であった。ベッドにうつ伏せで寝たまま約1ヶ月を絶えなくてはならない。

 

眼病との付き合い

それは耐えることである。


http://www.amazon.co.jp/%E7%B7%91%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%82%92%E6%82%A3%E3%81%A3%E3%81%9F%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%81%A5%E5%BA%B7%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%80%8D-%E4%B8%89%E6%A9%8B-%E6%B8%85%E6%B2%BB/dp/4286012425




やっかいな病気 ⑪

◆ てんかん


 

車が突然暴走し、大事故を起こしたニュースで、しばしばてんかん患者が取り上げられることがある。てんかんは脳の神経系の暴走であるが、くすりでおさえられるようになった。

 てんかんであることを隠して仕事をしている人が多い世の中のようだ(下記)。そして たまたまくすりを飲み忘れたことで事故につながってしまったようだ。

 

社会の寛容性が足りないということが問題ではないか。てんかんだから、病気だからと言っても、雇ってもらえるような社会であれば、安全はさらに確保される。しかし、現実には 病人、特に精神的な病人は嫌がる社会の風潮がある。

 

 

昔から 癩病 てんかんは差別の対象になった。てんかん患者に対する寛容性、許容性こそが社会に求められることである。



持病のてんかんを隠して運転免許を更新し事故を起こした事件で、県警は1日、柏市船戸の医師、綱川慎一郎容疑者(38)を道交法違反(運転免許不正取得、過労運転)容疑で書類送検した。
 


送検容疑は、昨年11月の免許更新時、てんかんの発作で意識を失った経験があるのに申告せずに更新。今年3月21日、柏市内で乗用車を運転中に発作を起こし、自損事故を起こしたとしている。
捜査関係者によると、綱川容疑者は同容疑で逮捕された翌日の7月5日、取り調べ中に発作を起こして釈放され、以降は任意で取り調べを受けていた。事故前、診察を受けた複数の医師から運転を禁じられていたという。



てんかんは古くから存在が知られる疾患のひとつで、古くはソクラテスユリウス・カエサルが発病した記録が残っており、各国の疫学データでは発症率が人口の1%前後となっている。

昔は「子供の病気」とされていたが、近年の調査研究で、老若男女関係なく発症する可能性があるとの見解も示され、80歳を過ぎてから発病した報告例もある。

疾患の原因は脳の損傷や神経の異常とみられている。
原因が分かったものを症候性てんかん、分らないものを真性てんかんという。

てんかん発作の原因としては、出産前後の酸素不足、頭部外傷、脳卒中、脳の感染症、脳の発生異常、てんかんに関連した遺伝子の異常などがある。これに発作を誘発する因子(光刺激、過呼吸、精神的ストレス、身体的ストレス、睡眠不足、月経周期に関連したホルモンの変動、ある種の投薬など)が加わることで発作が起きる。

てんかん発作を持つ人でもその7割以上は発作が完全に抑制されており、とくに問題のない健全な生活を営むことが出来る。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%8B%E3%82%93


2012年9月30日日曜日

やっかいな病気 ⑩

◆ ALS と MG


体が動かなくなるやっかいな病気にALSとMGがある。

 

MG (重症筋無力症; 自己免疫疾患)

ALS (筋萎縮性側索硬化症; 運動ニューロン病)

 

MG はすでに自己免疫疾患のページでふれた。

MGのやっかいな点は、合併症を引き起こすこと、薬剤誘発性の筋無力症や他のタイプなどがあり紛らわしい。ボツリヌス中毒とも間違えられた事件もあった。

 

 

ALS は神経の疾患であり、呼吸困難に至る。

 

グルタミン酸放出抑制剤のリルゾール(商品名リルテック)は進行を遅らせることが確かめられているる。他に、メチルコバラミンビタミンB12誘導体)超大量療法も試みられることがある。対症療法として、呼吸筋麻痺が起こると人工呼吸器を装着する。嚥下障害があると、栄養管理のため胃瘻中心静脈栄養を使う。その他、QOL向上をはかって、流涎や強制失笑に対する薬物療法を行うこともある。
 
毛沢東がALSであったことがWikipediaに書かれている。
 
1972年2月、ニクソンとの会見後に毛沢東が筋萎縮性側索硬化症に罹患していることが判明した。医師団が懸命の治療を行ったが、長年の喫煙による慢性的な気管支炎等が毛の体力を奪っていった。1975年には 白内障 も悪化し、8月に右目の手術をして視力は回復したものの、秋には肺気腫から心臓病を引き起こして深刻な状況となった。毛が最高幹部に直接指示を与えることはほとんどなくなり、甥の毛遠新を連絡員として病床から指示を発するのみとなった。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E8%90%8E%E7%B8%AE%E6%80%A7%E5%81%B4%E7%B4%A2%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E7%97%87%E7%AD%8B%E7%84%A1%E5%8A%9B%E7%97%87

やっかいな病気 ⑨

◆ クローン病


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E7%97%85


クローン病は潰瘍性大腸炎とよく似た炎症性腸疾患であり、病名に発見者の名前がつけられている。炎症の場所が限定されない点で、潰瘍性大腸炎と異なるが、原因はやはりはっきりしていない。

 

しかし、使用されているくすりから、病態をさぐることができる。

抗体医薬の レミケード や ヒュミラ の適用が検討され、それなりの成果を上げているところをみると、自己免疫性の疾患として位置づけられるようである。

 

関節リウマチ や ベーチェット病 との関連も示唆されている。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E7%97%85



2012年9月29日土曜日

やっかいな病気 ⑧


◆ 合併症を引き起こす病気



前回は治らない病気(癌)についてふれました。見つかった時はもう手遅れ、後のまつりという病気です。

 

今回は、初めはたいしたことないのに、うっかり油断をしていると手遅れになる病気の話です。

それは 糖尿病 です。 紫式部の昔からある病気です。



糖尿病がやっかいな理由は はじめは症状がないことです。病気が始まっていることも気が付かない、症状がでるのはよほど血糖値が高くなった時か、合併症が進んだ時です。

 

10年で約半数の患者さんに、20年で7~8割の患者さんに合併症の症状が出るといわれています。糖尿病の主な合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害で、3大合併症といわれています。




糖尿病患者にうつ病を患っている割合が多いことをニュースで取り上げていました。
糖尿病になったら誰でもへこたれます。あたりまえの現象です。
なんとか、予備軍で踏みとどまりましょう。

そのためのアドバイス集があります。


実体験に基づく予備軍に踏みとどまるための 究極のノウハウ集である。






http://sakai-clinic.or.jp/mo/diabetes02.html

やっかいな病気 ⑦

◆ 難治性癌


現代のやっかいな病気の極めつきが 難治性癌 です。病名に、慢性とか、難治性と付くものは本当に参ります。手術後の5年生存率が低いものとして、膵臓癌、肝臓癌、肺癌があります。

 

なかでも見つけにくいのが、膵臓癌 です。癌が見つかってからではなかなかくい止めようがありません。スチーブ・ジョブズ氏やパトリック・スウェイジ氏もすい臓がんで亡くなっています。

このくい止めようのない癌、それこそが やっかいな病気だと言えます。

 

膵臓癌についての話題がぎっしり詰まった ブログ がありました。

もう一つ こちらのブログ もなかなかの労作でした。



  • 糖尿病患者は食習慣を変えれば、薬をやめることができる。
  • 心臓病は食習慣だけで回復させることができる。
  • 乳ガンは、食べるものによって決まる「血中女性ホルモンのレベル」と関係している。
  • 乳製品の摂取は、前立腺ガンのリスクを高める。
  • 果物や野菜に含まれる抗酸化物質は、高齢者の知的能力の維持と関係している。
  • 腎臓結石は、ヘルシーな食習慣で予防できる。
  • 子供にとって最悪な病気の一つである1 型糖尿病は、間違いなく授乳習慣と関連している。





  • 検査値あれこれ ②

    ◆ 肝臓と腎臓の検査値


    肝心な肝臓と腎臓は検査値で多くのことが分かります。

    ここでもう一度 まとめておきます。

     
    肝臓と検査値
     
        GOTGPT・γGTP (肝障害や心筋梗塞の目安)
        GOT(AST):10~40IU/L
        GPT(ALT):: 5~40IU/L
        γ‐GTP:     10~45/L
     
      
        ALP (黄疸)
        ALP: 100~350 IU/L
     
        総ビリルビン (肝臓や胆管の異常)
        0.2~1.2 mg/dL
     
     
     
     
    糖尿と検査値
     
        糖尿
        血糖値:70~110mg/dl  (食後2時間 140mg/dl 以下)
        HbA1c: 4.3~5.8%
     
     
     
    腎臓と検査値
     
        腎疾患
        尿タンパク:  陰性
        クレアチニン: 男 0.6~1.0mg/dl  女  0.4~0.8mg/dl
        クレアチニン・クリアランス:  70~130mg
        尿素窒素: 8~23mg/dl
        尿潜血:  陰性
     
     
     
     

    やっかいな病気 ⑥

    ◆ なぜ増える?



    これだけ医療技術が発達したにも拘わらず増え続ける病気、生活習慣病そして精神的疾患。だれもがいずれ苦しめられる運命である。なぜそういう病気がふえるのか、という問に対して


    症状が表に出ることがなく気がついた時はすでに手遅れ ということがある。



    肝臓、腎臓、すい臓、副腎などはいずれも働き者の器官であり、複数の仕事を黙々とこなしている。これらは 沈黙の臓器 である。膵臓は他の臓器に囲まれて診断しにくいと言われます。

     

    黙って働く臓器をいたわらなくてはいけない。なによりも過食がいけない。やはり 過ぎたるは およばざるが如し である。

     

    体の中には よくばらないホルモン=セロトニン もある。

    ドーパミンではなくセロトニンにもっと はたらいてもらいたい、にらみをきかせてもらいたい。





    沈黙の臓器 ②

    ◆ 膵臓 (すいぞう)




    肝臓、腎臓、膵臓は沈黙の臓器ベスト3です。

    すい臓も、肝臓、腎臓 に劣らず働き者といえます。

    膵液(消化液)を分泌する外分泌器官であり、同時に重要なホルモン(インシュリン、グルカゴン)を分泌する内分泌器官でもあります。ランゲルハンス島は相反するホルモンを分泌する島である。


    膵臓の病気 は一旦発症すると、元には戻らず、

    膵臓の病気 特に、膵臓癌は増加傾向にあり、治る可能性が低いとされています。

    化学療法と共に漢方を含む療法も試みられている。



    Wikipediaには膵臓癌で亡くなった方々のお名前があげられているが、
    この中にApple創業者のマイケル ジョブズ氏を入れておきたい。






    5年生存率は部位別がんのなかで最下位(5%)であり、治療がきわめて困難な癌の一つである。罹患者の2割(UICC TNM分類ステージ1/2)が外科切除の対象となるが、リンパ節転移が早い段階でみられるため、切除が行われた場合でも約7割が再発すると言われている。


     









    沈黙の臓器 ①

    ◆ 肝腎な臓器



    肝臓は「沈黙の臓器」とよく言われます。

    これは肝臓には神経が通っておらず、損傷を受けたとしても他の臓器と違って痛みなどを感じにくく、自覚症状もなかなか出てこないからです。

     

    肝臓は人間の臓器の中で一番大きい臓器であり、多くの仕事をこなしています、そして少々危険な状態であっても自分でそれをカバーし、自己修復する力があります。

    細胞の再生能力にも優れていて、肝炎などで肝臓の細胞が死んでしまっても自らそれを再生する能力もあります。


    肝臓は相当我慢強い臓器ですから、SOSを出す頃になるとよほどダメージを受けているという事になります。肝臓が出すSOSのサインで一番分かりやすいSOSが「黄疸」です。






    くすりの副作用 ①


    ◆ 薬の副作用


     

     

    副作用のないくすりはない。

     

    それが悪いか、たまたま良いか の違いだけである。

     

    良い副作用はプレイオトロピック作用 とも言われている。



    アスピリンやスタチンのプレイオトロピック作用が有名である。



    やっかいな病気 ⑤

    ◆ CKD


    慢性腎臓病(CKD) は慢性化した腎臓の機能不全です。すでに、20歳以上8人に1人かかっているとも言われている、りっぱな生活習慣病です。 AKB ではなく CKD です。

    実は腎臓は 縁の下の力持ちで、体のごみ出し係の他にも、血圧調節、血液や骨を作るサポートをしています。

    レニンエリスロポエチンなどのホルモンやビタミンDの活性化を行っています。

     

    このように腎臓は 体液、血液、血圧を守る重要な働きがあります。腎臓がへこたれると大変です。元には戻れません。 腎炎⇒腎不全⇒慢性腎臓病⇒腎臓癌 と悪化していきます。

    大変わかりやすい アニメ解説 がありました。


     


    腎臓の悪い人が塩分をたくさん摂ると体の中に水分が溜まって、足やまぶたにむくみが出ることがあります。 同時に体内の血液量も増えるため、血圧が上がり高血圧になることがあります。将来的には脳卒中や心筋梗塞などの重い病気を起こす可能性もあるのです。
    腎臓からは多くの種類のホルモンが分泌されています。その一つであるレニンは、血圧を上昇させる作用があり、腎臓が悪くなるとたくさん作られて、高血圧を引き起こすと言われています。

     

     

    2012年9月28日金曜日

    やっかいな病気 ④

    ◆ 双極性障害



    精神疾患を理解する一つのアプローチとして、代表的なその病気の人の一生を振り返るという手段があります。かのリンカーンは うつ病で、当時は水銀を使ってその治療をしていたという話もあります。

     

    双極性疾患は、いわゆる躁うつ病で、Wikipediaでは、ゴッホを例に挙げています。

     

    作家中島らもさんの告白録「心が雨漏りする日には」を読むと、うつと繰の嵐がよくわかる。

     

    認知症の母の看護をしている弟の話では、母の人格は日替わりで変わり、嵐のように別人格が現れるようである。

    まるで、チャンネルを変えたように人格が変わって出てくると言っている。




    http://www.amazon.co.jp/%E5%BF%83%E3%81%8C%E9%9B%A8%E6%BC%8F%E3%82%8A%E3%81%99%E3%82%8B%E6%97%A5%E3%81%AB%E3%81%AF-%E9%9D%92%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%AD%E5%B3%B6-%E3%82%89%E3%82%82/dp/4413093186

    やっかいな病気 ③


    ◆ こころの病気



    患者にとっても、周囲にとってもやっかいな病気の代表が こころの病気です。それは、病気の型(パターン)が千差万別で、対応のしようがなくなり、疲弊することがあります。



    こころの病気や精神病をわかりやすく理解するために、ここでは二つのグループに分けて考えます。一つは、うつ病に代表されるような、気分の変動に問題がある、気分障害のあるグループです。もう一つは、統合失調症に代表される、精神障害のあるグループです。

     

     

    うつ病は、最近著しく増えている馴染みのある病気です。こころの風邪というような表現もあります。

    しかし、現実には気分の落ち込み(へこみ)から、身体機能の低下、生きる意欲の消失まで、幅広い気分の変動があります。自殺へと向かうこと(自殺念慮や自傷行為)もありますから、決してあなどれない病気です。

     

    うつ病では、妄想や幻覚、幻聴などの精神障害や、人格の破壊などはないのが普通です。気分(感情)の変動があり、それをコントロールできないのが、病態の本質です。(後に述べるように)統合失調症では、妄想や幻覚が特徴であり、人格が変わることもよくあります。かつて、精神分裂病と呼ばれたのがこの統合失調症です。

     

    現実を判断する能力が損なわれているにも拘わらず、病気であるとの認識(病識)ができないのが、精神病の本態です。







     

    やっかいな病気 ②


    ◆ 潰瘍性大腸炎


    大腸炎にはさまざまな種類がありますが、

    慢性化する潰瘍性大腸炎は特定疾患に指定されている難治性の腸疾患です。クローン病と共に、炎症性腸炎のグループに入ります。


    大事なことは、これらの疾患の原因に迫ることと、

    できるだけ無理なく予防することです。

    腸の病態に関して知っておきたいことは、腸管は免疫系細胞に富むこと、そして食事抗原などの攻撃から自己を守る働きが備わっていることです。

     

    細菌性腸炎などの場合にも、腸は細毒素や病原体にさらされ、免疫機構をフル活用して、防御体制を保っています。従って、常に免疫系が緊張した状況にあり、それは異常活動が起こりやすいことも暗示しています。

     

    まだ明確な原因が分かっていませんが、免疫システムの乱れ がこれら内因性の大腸炎の引き金になっていると考えられます。疲れない体をつくることが予防の一歩になります。








    やっかいな病気 ①


    ◆ 膠原病


    わかりにくい病気、やっかいな病気についてやさしく解説したいと思います。

     

    膠原病というのは元々、結合組織(膠原繊維)とその周辺(血管)に起因する炎症性の疾患に付けられた総称でしたが、その枠をはずし、別個に扱うようになっています。自己免疫疾患というカテゴリー(分類)もあり、その代表例として述べられることもあります。

    前ブログ(自己免疫疾患)で述べたように、関節リウマチ全身性エリテマトーデスが膠原病の代表例です。自己免疫疾患というのは、病気の発症原因に言及した表現です。ここでは関節リウマチについて解説します。

     

     

    関節リウマチは免疫異常によって起こる非化膿性の多発性関節炎です。

     関節の毛細血管内から関節組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球がでてきます。このリンパ球やマクロファージはサイトカインを産生し、それにより関節内に炎症反応がひきおこされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり(この段階では滑膜炎)、やがて全身の結合組織に炎症を起こします。進行すると骨破壊が生じ、高度の関節変形をきたすことがあります。

     

    最終的には関節が破壊し尽くされ、骨と骨が直接接した強直という状態になり、関節を動かすことはできなくなります。この段階では、滑膜が消失しているため、炎症も終息し痛みは感じなくなります。関節リウマチは、膠原病のなかで最も多い病気で、2050歳の女性に好発します(女性は男性の約4倍)。

     

     

     

     

    2012年9月27日木曜日

    くすりの問題集 ⑥

    ◆ 前立腺 の病気と 治療薬


     

    ◎ 前立腺癌の治療薬は どれか。

     

     

    ◎ 前立腺癌を悪化させるものは どれか。

     

     

    ◎ 前立腺肥大の治療薬は どれか。

     

     

    1. レトロゾール  2. メテノロン   3. タモキシフェン   4.エチニルエストラジオール

    5. メチルテストステロン   6. アルドステロン   7.アンドロゲン   8.コルチゾール

    9. プロゲステロン      10. エステロゲン  



    くすりの問題集 ④


    ◆ 子宮癌



    子宮癌 について 正しいものはどれか。

     

     

    1. ヘリコバクターピロリ が危険因子である。


     

    2. ヒトパピローマウイルス は子宮体癌 と関係がある。


     

    3. 子宮体癌は 減少傾向である。


     

    4. ホルモン療法 が治療の第一選択である。


     

    5. わが国では、子宮けい癌の方が、子宮体癌よりも患者数が多い。


     

    6. エステロゲン拮抗薬 タモキシフェン が有効である。


     

    7. メドロキシプロゲステロン は子宮体癌 治療に用いられる。



    くすりの問題集 ⑤

    ◆ 乳癌



    ◎ 乳癌について 正しいものはどれか。

     


    1. 化学療法(CMF療法)ではシクロフォスファミドが用いられる。

     

    2. 分子標的薬(ハーセプチン)による治療も行われている。

     

    3. 抗エステロゲン薬による治療が可能である。

     

    4. プロゲステロンが危険因子となる。

     

    5. 日本では減少傾向にある。

     

    6. 腫瘍マーカーとしてCA19-9が用いられる。

     

    7. 化学療法ではFOLFOX療法が行われる。

     

    8. アロマターゼ阻害剤(フェマーラ)が用いられる。

     

    9. マンモグラフィーはX線による検査法である。

     

    10. ヒトパピローマウイルス感染が危険因子である。 






    検査値あれこれ ②

     

    ◆ 腎臓の検査



    肝臓に続いて重要な器官である腎臓は次のような働きがあります。老廃物の処理だけでなく、レニン、エリスロポエチン、活性型ビタミンD3の合成は肝腎な働きです。


    1. 尿をつくる

    2. 電解質の調節をする

    3. 血圧の調節をする (レニン

    4. 血液(赤血球)をつくるサポートする (エリスリポエチン

    5. ビタミンDの活性化をする



    腎臓の検査で代表的なものは尿検査、クレアチニン関連、BUNです。
    生化学検査であるクレアチニンとBUNによって、腎機能の判定をすることができます。




        尿タンパク:     陰性
     

        クレアチニン:    男 0.6~1.0mg/dl  女  0.4~0.8mg/dl
     

        クレアチニン・クリアランス::  70~130mg
     

        尿素窒素 (BUN): :     8~23mg/dl
     

        尿潜血:      陰性
     
     
     
     

    くすりの問題集 ③

    ◆ 自己免疫疾患



    ◎ 次のうち 自己免疫疾患と考えられないものはどれか


     

    1. 重症筋無力症

    2. バセドウ病

    3. 関節リューマチ

    4. 2型糖尿病

    5. 痛風

    6. 膠原病



    検査値あれこれ ①

    ◆ 肝臓の検査



    肝臓は体の中心部にあり、一番大きな臓器です。

    その働きは主に次の4つに分けられます。

    1. 栄養素の活用と貯蔵

    2. 有害物質の解毒

    3. 消化吸収の援助(胆汁産生)

    4. 女性ホルモンの分解

     

    肝臓の検査では、次のようなものがあります。

    A. 肝臓の機能を計る検査

    ① 血液検査(AST, ALT, γ-GTP, コリンエステラーゼ,   ビリルビン)        ② 画像診断(CT, MRI)

    B. 病原体ウイルス検査

    各種肝炎ウイルス の検査




    《主な検査値》:

        GOT-GTP-γ-GTP  ( 肝障害や心筋梗塞の目安)

        GOT(AST):   10~40IU/L

        GPT(ALT)::    5~40IU/L

        γGTP:      10~45/L

      
     

    ◆ ALP   (黄疸)

        ALP: 100~350 IU/L

     

    ◆ 総ビリルビン    (肝臓や胆管の異常)

        0.2~1.2 mg/dL





    2012年9月26日水曜日

    くすりの問題集 ②

    ◆ 腫瘍マーカー



    ◎ 乳癌の腫瘍マーカーに用いられるものは 何か。

     

     

    ◎ 前立腺癌の腫瘍マーカーに用いられるものは 何か。

     

     

    ◎ 扁平上皮癌の腫瘍マーカーに用いられるものは 何か。




    次の中から選べ。

    1. AST   2.PSA   3.SCC   4.PAF   5.AFP   6. CA15-3





    くすりの問題集 ①

     

    ◆  検査値 


     

     

    ◎ 急性アルコール中毒で 上昇する検査値は何か。

     

     

    ◎ 肺機能検査に利用される 検査値は何か。

     

     

    ◎ 感染症や炎症反応によって 上昇する検査値は何か。

     

     

    ◎ 腎機能の指標として利用される 検査値は何か。





    次の中から選べ。

    1. 尿酸   2. ALT   3. AST   4. LDH   5. BUN

    6. SCC   7. PSA   8.γ-GTP  9.CA15-3

    10.血清クレアチニン   11.C反応性タンパク   12.ビリルビン

    13. コリンエステラーゼ   14.1秒率   15.総コレステロール 





    くすりをえらぶ時代 ②

    ◆ TDM (薬物治療モニタリング)



    薬物治療モニタリング(TDM) はくすりの追跡調査です。

     

    個々の患者の血中薬物濃度を測定し、望ましい有効治療濃度に収まるように用量や用法を個別化する医療技術です。

    わかりやすく言うと、くすりの 匙加減(さじかげん) のための調査です。

     

    薬をさじ加減するにあたり,客観的根拠として血中薬物濃度を参照することになります。 TDMが臨床的意義を有する前提条件として

     

    ◆ 信頼できる(簡便な)測定方法が確立されている
     

    ◆ 薬効・副作用を発現する分子種(新化合物または代謝物)が同定されている
     

    ◆ 血中濃度と薬効あるいは副作用発現が相関する
     

    ◆ 有効治療濃度域が 狭い
     

    ◆ 体内動態の個人差が大きい
     

    ◆ 種々の要因(肝機能,腎機能,年齢,薬物相互作用など)により体内動態が影響を受ける
     

    ◆ 投与量と血中濃度が比例せず非線形な薬物動態を示す
     

    ◆ 副作用が重篤 である。          などがあります。
     

     

    TDMの概念は

    ジギタリス製剤,免疫抑制薬,抗てんかん薬 を中心として広く医療に定着している。

     

    薬を処方するうえで さじ加減は欠かせないが,その科学的根拠を与える検査値として血中薬物濃度の重要性がある。