◆ 攻撃的な免疫
ワクチンは人類が開発した画期的な医薬品であり、免疫作用を巧みに利用している。
すなわち、病気の原因となる病原体を弱毒化して病原性をなくし、安全な抗原として体に入れ、免疫を活性化してのぞみの抗体を作らせるものである。
病気のあるところ、ワクチンの助けあり、である。
もともとは、E. ジェンナーがウシの病気(牛痘)を利用して成功した天然痘ワクチンに始まり、BCG、ポリオワクチンなどのワクチンなどではその恩恵を受けていない人はいない。
BCGはもはや病原性がなくなり、抗原性だけを示す大変優れたワクチンになっている。しかし、すぐれものばかりでないのがワクチンの怖さであることを、以前のコラムで強調した。
外敵から身を守る基本としての免疫機能では、自分と異なる外敵(異物)を抗原とみなし、抗体という武器を作って反撃する、これを抗原抗体反応と呼ぶ。この免疫機構こそが、病気から身を守る自前の武器である。免疫が、タイムリーに働いて、外敵をやっつければくすりはいらないし、癌細胞もやっつけられる。
しかし、この便利な免疫が何かの原因で、壊れてしまうと、癌やさまざまなやっかいな病気になる。その総称が、以前このコラムでも取り上げた、自己免疫疾患である。
感受性の高い免疫が体に入ってきたウイルスをやっつけようとして、ウイルスが感染した臓器までも破壊してしまうような 過剰攻撃をするのが自己免疫疾患と言うことができる。
具体的な病名として有名なものは、膵臓で起こる1型糖尿病、甲状腺で起こるバセドウ病や橋本病、膠原組織で起こる膠原病やリウマチそして、全身性エリテマトーデスなどがある。
(過去のコラム: 自己免疫疾患、やっかいな病気 参照)
0 件のコメント:
コメントを投稿