ラベル 2016MEDICINAL2016 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 2016MEDICINAL2016 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年10月9日金曜日

Chaetomellic Acid A and Congeners

 

Chaetomellic Acid A and 1,7(Z)- Nonadecadiene-2,3-dicarboxylic Acid


Abstract

Abstract Image
 
 

Synthesis of recently isolated bioactive natural products chaetomellic acid A anhydride (1) and a novel 1,7(Z)-nonadecadiene-2,3-dicarboxylic acid (2) have been described. Chemoselective carbon−carbon SN2‘ coupling reactions of appropriate Grignard reagents with dimethyl bromomethylfumarate (7) in diethyl ether in the presence of HMPA at room temperature furnished the corresponding diesters 8 and 15 in 60−62% yields. The formed diesters 8 and 15 on hydrolysis gave respectively the corresponding desired diacids 9 and 2 in quantitative yields. Acetic anhydride induced ring closure of diacids 9 and 2 respectively gave the chaetomellic acid A anhydride (1) and isochaetomellic acid B anhydride (16) with 38−39% overall yields in five steps.



View all 17 citing articles
Citation data is made available by participants in CrossRef's Cited-by Linking service. For a more comprehensive list of citations to this article, users are encouraged to perform a search in SciFinder.


 

2015年10月3日土曜日

転写因子による癌代謝調節


NF-κB阻害による癌治療

癌細胞でNF-κBという転写因子(遺伝子の発現を調節する細胞内のタンパク質)の活性が高まると、癌細胞は死ににくくなり、増殖や転移が起こりやすくなります。


しかし、NF-κBは免疫細胞においても重要な役割を果たしていますので、NF-κBを阻害することは免疫力を弱める可能性もあります。
したがって、癌治療においてNF-κBの阻害は一長一短があるのですが、進行した癌の勢いを止めるためや、抗癌剤の効き目を高める目的には有効な治療と考えられます。



【理論的根拠】

1。腫瘍血管の新生は、炎症細胞から放出されるIL-8というサイトカイン(炎症反応や免疫反応を調節する蛋白質)やプロスタグランジンE2などの伝達物質により促進される。プロスタグランジンは癌細胞の増殖を促進する作用もある。

2。プロスタグランジンE2は炎症細胞や癌細胞から作られるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)により合成され、IL-8やCOX-2の遺伝子発現は転写因子のNF-κBの活性化により起こる。

3。フリーラジカルによる酸化ストレスや、炎症反応の中心的なメディエーターである腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-alpha, TNFα)は、転写因子のNF-κBを活性化する。

4。癌細胞内でNF-κBが活性化すると、癌細胞は死ににくくなり、抗癌剤に抵抗性になる。
従って、「フリーラジカルを消去して酸化ストレスを軽減」して、「NF-κBの活性を抑制」したり、「TNF-αやCOX-2の働きを抑える」と、癌組織に行く血管の新生が抑制され、癌細胞の増殖活性が低下し、体に負担をかけずに癌との共存あるいは癌の縮小が期待できます。





【効果のある薬剤・サプリメント】
1。NF-κB活性化の予防:抗酸化剤(酸化ストレス軽減)、サリドマイド(TNF-α産生阻害)
抗酸化性のビタミンであるビタミンC, E, ベータカロテン、COQ10、抗酸化酵素の働きを高めるセレニウム、植物成分のフラボノイド類などを摂取すると、フリーラジカルを消去して細胞の酸化ストレスを軽減する結果、NF-κBの活性化を抑制する効果が期待できます。
サリドマイドには腫瘍壊死因子α(TNF-α)の産生を抑制する作用が知られています。腫瘍組織内のTNF-αの産生を抑えれば癌をおとなしくさせることができます。
(サリドマイドの詳細はこちらへ)

2。NF-κB活性化の阻害:セスキテルペンラクトン、レスベラトロール
植物に含まれるセスキテルペン(Sesquiterpene)類は、抗炎症作用や抗がん活性などの作用によって注目されています。
最近、パルテノライド(Parthenolide)というセスキテルペンが、NF-Bネの作用を強力に阻害することが明らかになりました。このパルテノライドという物質は、欧米で関節炎や偏頭痛の治療に使われているフィーバーフュー(Tanacetum parthenium,ナツシロギク)というハーブの主成分です。フィーバーフュー(feverfew)は解熱や鎮痛効果を持った民間薬として、インターネットなどでアメリカのドラッグストアーから日本でも手に入ります。

パルテノライドとよく似たセスキテルペンにコスツノライド(costunolide)があります。コスツノライドは木香という生薬に含まれており、発がん予防効果などが幾つも報告されている物質です。パルテノライドやコスツノライドなどのエスキテルペン類には、がん細胞のNF-kBの活性を阻害することによって、抗がん剤の効き目を高める可能性が報告されています。
(セスキテルペンの詳細はこちらへ)
また、ぶどうの皮などに含まれるレスベラトロール(Resveratrol)という物質は、癌の予防効果が報告されていますが、NF-κB阻害作用も報告されています。レスベラトロールのサプリメントも販売されています。

ウコンに含まれるクルクミンは抗酸化作用や抗炎症作用によるがん予防効果が報告されていますが、クルクミンがNF-κB活性を阻害するという報告もあります。
(
クルクミンの抗がん作用はこちらへ)



3。NF-κB活性化の結果起こるCOX-2の阻害:COX-2阻害剤、ω3多価不飽和脂肪酸
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)は炎症性細胞内に存在してプロスタグランジンを合成する酵素として知られていますが、多くの癌細胞にも存在して、増殖や転移や血管新生を促進する作用が知られています。この酵素を阻害することにより、癌の増殖や転移を防ぐ効果が期待できます。(COX-2阻害剤の詳細はこちらへ)




DHA(ドコサヘキサエン酸)などのω-3多価不飽和脂肪酸はCOX-2から産生されるプロスタグランジンE2の合成を阻害するので、癌細胞の増殖抑制や血管新生阻害作用が期待できます。DHAは健康食品として販売されています。 

(DHAの詳細はこちらへ)


4。その他:漢方薬

漢方薬を構成する生薬の成分のなかにNF-κBやCOX-2を阻害するものが知られています。

前述のセスキテルペン類の他にも、黄連や黄柏という生薬に含まれるベルベリンアルカロイドにはCOX-2の遺伝子転写を抑える作用が報告されています。

生薬にはフラボノイドをはじめ、多くの抗酸化物質が含まれており、細胞の酸化ストレスを軽減する効果もNF-κBやCOX-2の活性を抑制することにつながります。

NF-κB阻害剤は免疫力を抑える可能性がありますが、そのような不都合も漢方薬の免疫力増強作用を併用すればある程度は防げます。

以上をまとめると、癌細胞のNF-κB活性を阻害するには、
野菜や果物を多く食べて抗酸化力を高め、

肉は減らして新鮮な魚を食べてω3不飽和脂肪酸を補給しながら、場合によっては抗酸化性のサプリメント(ベータカロテン、ビタミンC、E、セレニウム、COQ10)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を摂取することが基本となります。

これをベースにしながら、COX-2阻害剤(セレブレックス)やサリドマイドと漢方薬を併用し、さらにFeverfewを用いれば、NF-κBによる癌の増悪をかなり防ぐことができます。

2015年9月23日水曜日

Nrf2 Activator As Meuroprotective Agent


Synthesis of Piperlongumine Analogues and Discovery of Nuclear Factor Erythroid 2-Related Factor 2 (Nrf2) Activators as Potential Neuroprotective Agents

 
J. Med. Chem., 2015, 58 (13), pp 5242–5255
DOI: 10.1021/acs.jmedchem.5b00410
 

Abstract

Abstract Image
 
 
 

The cellular antioxidant system plays key roles in blocking or retarding the pathogenesis of adult neurodegenerative disorders as elevated oxidative stress has been implicated in the pathophysiology of such diseases. Molecules with the ability in enhancing the antioxidant defense thus are promising candidates as neuroprotective agents. We reported herein the synthesis of piperlongumine analogues and evaluation of their cytoprotection against hydrogen peroxide- and 6-hydroxydopamine-induced neuronal cell oxidative damage in the neuron-like PC12 cells. The structure–activity relationship was delineated after the cytotoxicity and protection screening. Two compounds (4 and 5) displayed low cytotoxicity and confer potent protection of PC12 cells from the oxidative injury via upregulation of a panel of cellular antioxidant molecules. Genetically silencing the transcription factor Nrf2, a master regulator of the cellular stress responses, suppresses the cytoprotection, indicating the critical involvement of Nrf2 for the cellular action of compounds 4 and 5 in PC12 cells.

Details of the synthetic intermediates, in vitro free radical scavenging assay, HPLC chromatograms, and NMR spectra of the final compounds. The Supporting Information is available free of charge on the ACS Publications website at DOI: 10.1021/acs.jmedchem.5b00410.

Citation data is made available by participants in CrossRef's Cited-by Linking service. For a more comprehensive list of citations to this article, users are encouraged to perform a search in SciFinder.
 
                       


 

2015年7月29日水曜日

Molecular Pharmacology of GPR 120 Selective Agonists

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014299915300911

GPR 120 agonist is another candidate for Diabetics.

Abstract

Free Fatty Acid 4 receptor (FFA4 receptor or GPR120), a rhodopsin-like G protein coupled receptor (GPCR) subfamily member, is a receptor that senses specific fatty acids such as ω-3 fatty acid in fish oil or the endogenous signaling lipid, PHASA. FFA4 receptor is enriched in lung, colon and adipose tissue but is also detected in many other tissues and cells.

 

The activation of FFA4 receptor has multiple effects, including but not limited to inhibition of inflammation, improving insulin sensitivity and adipogenesis, and regulating hormone secretion from the gastro-intestinal system and pancreatic islets.

The important role of FFA4 receptor in maintaining metabolic homeostasis strongly indicates the great potential of selective FFA4 receptor agonizts to treat diabetes and inflammation.

 

In this review, we summarize recent research progress in the physiological and biochemical studies of FFA4 receptor and highlight its underlying signaling mechanisms and ligand identification to assist future research to exploit FFA4 receptor as a drug target.



Keywords

  • GPR120;
  • Glucose metabolism;
  • Lipid;
  • Arrestin;
  • Biased signaling



http://molpharm.aspetjournals.org/content/84/5/710.full.pdf+html?sid=824be494-56be-4c5d-8660-5c68f12844b7



http://www.jbc.org/content/289/29/20345.full.pdf+html?sid=98b94460-9bca-47ff-9ff2-4cd5cc880639



http://basicmed.med.ncku.edu.tw/public/project/1439-1412238024-1.pdf

2015年6月27日土曜日

エピゲノミック・ドラッグ・リポジショニング 2015



エピゲノミックな視点からのドラッグリポジショニング



高崎健康福祉大・特任教授  鳥澤保廣
 

ジェネリック薬(既存薬)はさまざまな多面効果(プレイオトロピック効果)を有する。これがドラッグ・リポジショニング(DR)のエンジンになるので、これまで<複素環ジェネリック薬>に注目し、さまざまな解析を行った。[タウ凝集阻害;EMT/MET阻害活性;癌代謝調節効果;分子軌道MO計算等]この過程において、優れた多面効果を示したものが<複素環スタチン>であることもすでに報告した。(薬学会年会@神戸)

 

既存薬のごく一部の古典薬が(確率:<1%程度で)、なぜ選ばれたかを考察すると、遺伝子(DNA)周辺への干渉作用(エピゲノミック効果)が無視できない。即ち、穏和な遺伝情報の調節(作用)である。 そこで、複素環ジェネリック薬とヒストンタンパクとのエピゲノミックな相互作用(特にヒストンデアセチラーゼ阻害作用)に注目し、新たに優れた(エピ)ジェネリック薬を見出す検討を行っている。その概要を以下に記す。

 

1.  脳のビタミンを探す

古典的中枢薬の中にはエピゲノミックなヒント(示唆)になるものが多数ある。そのような視点から<脳のビタミン>になる化合物を探索した。バルプロ酸がHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤であることが見出され、各種の癌治療への応用が検討されている。我々は炭素数10程度の単純なカルボン酸を調査し、医薬候補:アルンド酸(TCI)とそのヒドロキサム酸誘導体に興味を持った。特にヒドロキサム酸にはカルボン酸より強いHDAC阻害活性がある。しかし、このヒドロキサム酸類は安定性に問題があることがわかり、各種ヒドロキサム酸保護化合物(TCI)による評価をしている。(保護体はプロドラッグとして位置づけられる) その一方、αリポ酸やスリンダック(嫌酒薬)、オーラノフィン(リウマチ薬)等の含硫黄系化合物も金属酵素(メタロエンザイム)への配位能を有し、小分子エピドラッグのシーズとなることもわかった。

 

2.  脳の糖尿病をなおすジェネリック薬を探す

認知症の新薬開発は難航している。最近になり、インスリンやシロスタゾール等の既存薬転用が新たな光明になっている。認知症は「脳の糖尿病」であるという作業仮説に基づき、抗糖尿病薬のタウタンパク凝集抑制能について、非細胞系(ビトロ)での評価を行った(@同志社大学:脳科学研究所)。

その結果、古い抗糖尿病薬のエパルレスタット(キネダック)と、ある種のロダニン色素(TCI)に有意なタウタンパク凝集阻害効果が認められた。そこで、これら化合物の誘導体化を進めた。

新規誘導体化では、アッセイ系への水溶性を高めるために、BGL誘導体(TCI)の合成を行ない、活性比較を行った。さらに動物実験としては、遺伝子改変(Tg)マウスではなく、エピゲノミック効果を検証できる過剰タウリン酸化マウスによる経口投与を計画中であるが、難題である。(埼玉医大との共同研究)

 

3.  癌転移を抑えるスタチンを探す

古典的なスタチンのロバスタチン(製剤)が卵巣癌に著効を示すことが慶応大学他によって明らかにされた(本年6月)。スタチンはメバロン酸合成に干渉する薬であるが、もはやそれだけではない、遺伝子(DNA)周辺レベルでの作用が潜んでいることが強く示唆されている。

 

我々の検討でも、ある種のストロングスタチンにはHDAC調節作用が認められた。そこで、これまで市場にあるすべてのスタチン類(TCI)について、HDAC/HAT活性を評価した。そのうち活性があったのは、古典的スタチン(ロバスタチン)と新しいスタチン(3種)であった。現在これらCa塩製剤をより水溶性の高いポリオール複合体(アガロースゲル分散化)やBGLアミドへと変換する検討を行っている。

 

4.  糖尿病を治す不飽和脂肪酸を探す

スタチンやカルボン酸ミミックには抗糖尿病作用(DPP4阻害)が報告されている。一方、長鎖不飽和脂肪酸は毒にも薬にもなる可能性を秘めているので、この点に注目した不飽和脂肪酸の機能解明と有効な誘導体合成について検討した。

特に、長鎖不飽和脂肪酸のヒドロキサム酸(エイコサノイドのヒドロキサム酸)については、これまでにない活性が見出されている。従って、HDAC活性に加え、GPR受容体(脂肪酸受容体)への効果、さらにはアルデヒド分解酵素活性を指標にした共同研究を行っている。特に、GPR受容体は新しい糖尿病薬の可能性を開く創薬標的として認知されている。

 

5.  新規ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の模倣合成

上記のようなジェネリック薬リポジショニングの過程で得られた構造活性の知見は、新規医薬品候補化合物の手掛かりとなる情報である。特に特許切れ間近な医薬品候補化合物を最低限の化学変換で、ゾロ新に変換する試みはロウリスク、ロウコスト創薬の道であり、大学での少人数創薬を可能にする創薬活動になる。

 

HDAC阻害剤の創薬は、Volinostatの成功例にもみられるように、きわめて単純な構造を持つ化合物による遺伝子周辺型癌治療を可能にしている。このHDAC阻害剤は既存の抗癌剤との併用により、相乗効果を発揮することがわかってきた。そこでHDAC阻害剤の探索についても触手を伸ばし、<Givinostat (Phase II完)>及び<Pitavastatin (リバロ)> からの新規なゾロ化合物創製を行っている最中である。

 

         

  Givinostat                                   Pitavastatin

 

以上のように本研究では、既存薬を転用して新たな使い道を見出す温故知新型の「ドラッグ・リポジショニング」を推進する。このようなロウコスト創薬探索は大学やジェネリックメーカー等の非製薬業の共同作業で実現することができ、現代難治疾患への医薬提供に直結することを検証する。

 

 

1.  鳥澤保廣「アミノカルボニル化反応開発の記録」高崎健康福祉大学紀要(11), 71-79, 2012-03 

2.  鳥澤保廣「医薬品合成(現代アルケミー)への提言」高崎健康福祉大学紀要(8), 123-131, 2009-03 

3.  鳥澤保廣他「炭酸ガスを活性化する合成反応」高崎健康福祉大学紀要(7), 199-209,  2008-03

4.  鳥澤保廣「セシウム塩を使う有機合成」高崎健康福祉大学紀要(6), 123-134,  2007-03 

 


 

 

優れたジェネリック薬は多面効果(プレイオトロピック効果)を有する。

これが新たなドラッグリポジショニング(温故知新創薬)の起点になるので、

我々はこれまで複素環ジェネリック薬に注目しさまざまな解析を行ってきた

<タウ凝集阻害;癌代謝調節効果;分子軌道計算等>。

 

限られた古典薬だけがなぜ長く生き残ってきたかを考察すると、

遺伝子(DNA)周辺への穏やかな相互作用(エピゲノミック効果)を無視できない。

そこで、今回は複素環ジェネリック薬とヒストンタンパクとのエピジェノミックな相互作用に注目し(解析し)、

優れたエピジェネリック薬を独自に見出す検討を行った。

<エピジェノミックな効果を併せ持つものが

    優れたジェネリック薬となる>

 

1.      単純なカルボン酸類の HDAC/HAT活性

2.      エパルレスタットの タウ/HDAC/HAT活性

3.      ピタバスタチンの タウ/HDAC/HAT活性

4.      脂肪酸誘導体の エピジェネッテイック活性

 

 

 

 

 

2015年2月13日金曜日

ピルフェリドン(ピレスパ)

ピルフェニドンは新規の抗線維化薬である.

動物実験では各種線維化疾患モデルで各臓器における

明らかな線維化の減少と機能低下の抑制が認められている.

 

ブレオマイシン誘発肺線維症モデルでは,

ステロイドであるプレドニゾロンとの比較により,

プレドニゾロンは抗炎症作用のみを示したのに対し,

本薬は抗炎症作用と抗線維化作用の両方を示した.

 

種々の検討からピルフェニドンは,

炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6等)の産生抑制と

抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し,

Th1/2バランスの修正につながるIFN-γの低下の抑制,

 

線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1,b-FGF,PDGF)

の産生抑制を示すなど,各種サイトカインおよび増殖因子

に対する産生調節作用を有することが示されている.

 

また,線維芽細胞増殖抑制作用やコラーゲン産生抑制作用

も有しており,これらの複合的な作用に基づき

抗線維化作用を示すと考えられる.

 

 

本邦において実施された

特発性肺線維症(IPF:Idiopathic Pulmonary Fibrosis)患者

を対象とした第III相試験の結果,

ピルフェニドン投与によりプラセボ群に比べ

有意に肺機能検査VC(肺活量)値の悪化を抑制し

無増悪生存期間の延長に寄与していたことから,

特発性肺線維症の進行を抑制することが示された.

 

一方,本薬投与による特徴的な副作用は,

光線過敏症,胃腸障害(食欲不振,食欲減退),

γ-GTP上昇等であった.

 

ピルフェニドンが特発性肺線維症患者に対して

一定の効果を示したことにより,副作用の発現は

プラセボ群に比べ高かったものの,減量・休薬等で

副作用をコントロールし治療を継続することで,

病態の進行を抑制し生命予後の改善にも

寄与することが期待される.



2014年12月30日火曜日

ピタバスタチンの癌転移抑制効果を検証する。

 

スタチン系薬剤による 癌転移抑制効果 の検証。

(スタチン・リポジショニング療法の提案)

 

【背景】

高脂血症薬(抗コレステロール薬)として知られるスタチン類は、1983年のMerck社のロバスタチンの発売に始まり、現在まで約8種の化合物が市場を賑わしている大型新薬(ブロックバスター)である。これら薬剤は、本来の作用(コレステロール合成阻害)以外の多面的効果(プレイオトロピック効果)についても、臨床的な見地から興味が持たれている。現在世界で最も売れているスタチンである、アトルバスタチン(リピトール)については、動脈硬化の抑制、アルツハイマー病進行の抑制などに期待がもたれている。その反面、横紋筋障害や、認知機能の低下等の副作用についても議論されるに至っている。このように、スタチンが関与するメバロン経路の調節は、多様なプレイオトロピック効果の発現を示唆するものであるが、中でも癌転移との関係は近年の癌代謝研究の進展と相まって、最も注目に値する課題と考えられる。

 

【癌研究の動向】

癌代謝研究の中心課題として現在注目を集めているものが1)EMT(上皮間葉細胞遷移)と 2)癌幹細胞制御 の2点である。これまでの基礎研究の結果、これらを標的とする既存医薬品がいくつか見出されている。従って、EMTと癌幹細胞制御に関わる低分子型既存医薬品の探索は時代のニーズにかなった創薬戦略であり、既存医薬品のリポジショニングによってこの目的が達成できれば、創薬の低リスク化をなしとげる格好の研究課題となる。

 

【スタチン薬による癌転移抑制効果の実証】

すでにスタチン類によるコレステロール合成の抑制が、細胞増殖の抑制につながることを示唆する研究成果が多数報告されている (2014総説)。

古典的なスタチン(初期医薬品)であるロバスタチンや類似構造を有するシンバスタチンに関しては、細胞増殖にかかわる幾つかの経路の抑制に基づく、乳がんや腎がん細胞の増殖阻害が昨年の報告で明らかにされている。

特に興味深い事実は、シンバスタチンによって、乳腺管腔構造の破壊が阻止され、正常細胞への回復する点であり、がん細胞の性質を抑制することを意味している。これらの事実に加え、メバロン酸経路の阻害は、宿主免疫系を活性化する報告もなされており、癌微小環境の改善に寄与することが報告されている。従って、スタチン類の抗癌作用を期待した各種誘導体の合成や、リポジショニング創薬は十分期待の持てる癌化学療法の新機軸である。

 

【研究方針: ストロングスタチンの再評価】

ロバスタチンやシンバスタチンは1980年代に開発されたいわば古典的(第一世代)スタチンであり、現在汎用されているスタチンは、先述のアトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンなどがあり、特に日本で開発された後者2品はストロングスタチン(高活性型)と称されている。

 

アトルバスタチン(ファイザー社)とロスバスタチン(AZ社)はすでに、広範囲な市販後調査(PMS)が展開されており、アルツハイマー薬などへの応用開発も試みられている。ピタバスタチンに関しては昨年8月に特許が切れ、本年からジェネリック医薬品が台頭しており、そのプレイオトロピック効果についても興味が持たれている。

 

これらストロングスタチン類の抗癌作用(癌転移抑制効果)の実証については、いまだ明確な報告はなく、信頼できる実験系、その作用メカニズムの検証が急務である。

 

以上のような観点から、ストロングスタチンの癌転移抑制効果とその実態解明につながる動物実験系の構築を行ない、癌化学療法への応用開発についての検討計画を立てた。


 



以下略。

 

癌代謝調節へのドラッグ・リポジション

【癌 ジェネリック・リポジション 創薬】


 

癌細胞の特異的代謝現象(癌代謝)を把握し、

癌代謝調節効果を有するジェネリック医薬品を見出すことは、ジェネリック・リポジションの格好の課題となる。

 
 
 
 【解説】 

癌代謝調節へのドラッグ・リポジション: 

新たな癌化学療法となりうるジェネリック薬の独自アッセイ法 
による選別と、
癌代謝調節物質の発掘を課題とした創薬探索において、
構造及び機能上の特徴として
次の化合物群に注目した。

1.   カルボン酸側鎖にヘテロ置換基、
共役構造、含窒素複素環構造などを含む。

2.   代謝関連物質となる生理活性物質、
及びジェネリック医薬品を含む。

 
【分野と背景】 

簡便な癌化学療法(代替療法)の選択肢となる化合物群と
そのアッセイ法に関する研究成果を提示する。

癌細胞と正常細胞の代謝活動は明確に異なっており、
癌代謝の解明、シグナル伝達研究も活発に行われている。
即ち、癌細胞や増殖期の正常細胞は活発な代謝活動が行われ、
解糖系とそれに続く脂肪酸代謝が亢進していることが知られている
(下図)。

 この癌代謝に関わる中心的代謝物質が、
新たな癌代謝調節物質探索の起点になると考えられる。

即ち癌細胞では、
炭素数5程度のカルボン酸が関与する代謝経路例えば、
クエン酸回路、ペントースリン酸化経路の活発な代謝亢進が認められ、
メバロン酸等の脂肪酸合成に必要な化合物生産とエネルギー(NADPH等)産生状態にある。

一方、脂質炭素骨格は
グルタミン(C5アミノ酸)の分解によっても供給される。
このように癌細胞では、炭素5個の脂肪酸、
メバロン酸、ゲラニル酸、さらにはグルタミン系アミノ酸
の需要が増加した状態にある。

明らかに正常細胞と異なる、
この癌代謝異常(代謝リプログラミング)は、
癌化学療法の新たな治療標的(ターゲット)として注目されている。
従ってこれらC5単位の脂肪酸基質と関連し、

代謝アンタゴニスト作用をもたらす疑似型低分子化合物は、
癌代謝調節の最も単純で有効な医薬品候補となる。

(中心的代謝物が、癌細胞の酸化ストレス耐性に関連した
還元性化合物として機能することは明らかである。)

 

【課題】 

古典的な殺細胞性抗癌剤の多くは
核酸やDNAを分子標的としてその複製を止め(代謝拮抗)、
あるいはまた近年開発された分子標的薬は、
(異常)細胞増殖シグナルを選択的な標的にした
化学療法剤として機能しているが、
相当な副作用を伴うことが問題視されてきた。

特に、近年のキナーゼ創薬の進展は目覚ましいが、
安全性や価格の面ではまだ過渡的な薬剤である。
例えば、肺癌新薬として期待されたイレッサでは
副作用に基づく死亡例が報告され、
裁判にまで発展したことは記憶に新しい。

 

本研究ではこれとは異なる、
安全性に軸足を置いた既存薬リポジション型の
治療薬探索の基本情報を提示する。

その際、治療効果の科学的エビデンスとして、
癌特異的な代謝(リプログラミング代謝)の視点からの
癌代謝調節物質としての機能を提示する。

特に、市販後調査済(使用実績)の
ジェネリック薬と関連化合物による癌代謝調節効果を精査し、
結果として患者自身が納得して享受できる選択肢となる
化学療法剤のシーズ(ジェネリック・シーズ)を提供する。

特筆すべきは、
これまでの細胞毒性に基づく抗癌性(anti-tumor)や殺細胞性(cytotoxicity)ではなく、癌細胞代謝制御(metabolic control) 効果に主眼を置いた、安全安価な癌治療を実現することを目指す、細胞治療(癌リプログラミング療法)の一助となる化合物群を提示する点が重要である。

すでに生活習慣病薬である一部のジェネリック医薬品類
(古典的抗糖尿病薬)には有意な癌予防効果
あるいは延命果があることが疫学的コホート調査から
示唆、報告されていた。

加えて癌患者の食事・運動療法が有効であることも
報告されている現状であるが、その生化学的分子メカニズム
(科学的エビデンス)の詳細は明らかではない。

 

【手段】

まず癌細胞の特徴的な過剰代謝(リプログラミング代謝)のモデル
となる3種の 発光癌細胞系を構築した。
これらは簡便なアッセイを可能にする発光性癌細胞であり、
各種ジェネリック薬の挙動を簡便かつ総合的に評価することができ、
癌代謝調節効果の多様性を判定した。
(癌代謝トリプルアッセイ法)。

より具体的な手法としては、
炭素総数数C5~C20程度の基本骨格を持つ
低分子ジェネリック薬を任意に選択し、
脂肪酸代謝、癌代謝に影響を与えるかどうかについて精査した。

 

特筆すべきは、
複素環(ヘテロ環)構造を有するジェネリック薬
に注目した点が発明の起点である。
即ち、含窒素、含硫黄官能基、さらに
ヘテロ原子を含む複素環構造を持つジェネリック薬を中心に、
生理活性カルボン酸群について重点的に、
癌代謝調節効果を正確に検証した。

上記のような複数のアッセイ結果から浮かび上がった
最も治療効果の期待できる低分子化合物及び、
ジェネリック医薬品を提示する。

 

【範囲】

母骨格となる脂肪鎖炭素骨格からなる一般式(I)で示される有機化合物を含む。

                 
これらのカルボン酸誘導体は、
癌細胞増殖効果と癌細胞運動性、EMT(上皮間葉転換)抑制効果の
いずれか又はすべてを有する活性があることが確認された。

 

これら化合物を独自に評価した3種のアッセイ系を用いた手法も範囲に含まれる。

即ち、ここで用いたアッセイ法は

1.癌細胞増殖の抑制効果 (proliferation test); 
2.癌細胞運動性の抑制効果 (mobility test); 
3.EMT抑制効果 (EMT test) を組み合わせたもので、
その詳細は【実験の部】で詳述する。

加えて、個々の化合物の毒性に関する既知データも十分に検証し、
直接的な医療応用の面から価値が高いことを確認した。

 

具体的には一般式(I)あるいは、個々の表記のような既知の有機化合物であり
すでに幾つかの生化学的性質が知られている生理活性化合物とジェネリック医薬品である。

(1~6の分類上重複する化合物もある)

1.   (C5)αアミノ酸群:グルタミン又はグルタミン酸と同様な炭素骨格、即ちC5単位を持つアミノ酸及びその誘導体: 一般式(I)においてC2置換基として、アミノ基及び窒素官能基を持つ塩基性αアミノ酸系化合物。さらにはC2位以外に、水酸基及び酸素官能基を持つカルボン酸、硫黄官能基を含む化合物である。
具体例としては、塩基性アミノ酸のアルギニン、オルニチン、リシン、アガリシン酸、ペニシラミンなどが含まれる。

 

2.  C2位に置換基を持つα置換カルボン誘導体:一般式(I)のC2位において、アミノ基以外の官能基を持つα置換カルボン酸類。具体例として次の化合物を含む。
(ヒドロキシ)クエン酸、クマリン酸、バルプロ酸、プロパンオクタン酸などが含まれる。

 

3.  C3位に置換基を持つβカルボン酸誘導体:一般式(I)のC3位にアミノ基及び窒素官能基を持つβアミノ酸系化合物、水酸基及び酸素官能基を持つポリヒドロキシ酸、硫黄官能基を含む化合物、さらには各種アルキル置換基を有する置換カルボン酸が含まれる。
リンゴ酸、金チオリンゴ酸、プレガバリン、テトラメチレングルタル酸とその誘導体などが含まれる。

 

4.  C4位に置換基を持つγ置換カルボン酸誘導体:一般式(I)のC4位にアミノ基及び窒素官能基を持つγアミノ酸系化合物、水酸基及び酸素官能基を持つポリヒドロキシ酸、硫黄官能基を含む化合物、さらには各種アルキル置換基を有する置換カルボン酸が含まれる。
葉酸及びその誘導体、医薬品等を含む。

 

5.  C5位に上記のような各種置換基、共役構造、複素環構造を持つδ置換カルボン酸誘導体。
αリポ酸及びその誘導体を含む。

 

6.   C1~5位の複数の箇所に置換基を持つ置換カルボン酸誘導体。特に含窒素カルボン酸類似構造、複素環構造と共役構造のいずれか又はすべてを含むジェネリック医薬品と生理活性化合物群。具体的には以下のものを含む。

 

6-1.     アンセリン (カルノシン)

6-2.     エパルレスタット  (エパルレスタット類似物)

6-3.     オザグレル

6-4.     シロスタゾール  (シロスタミド)  

6-5.     スリンダック  (NSAIDs)

6-6.     セリチジン

6-7.         テモカプリル (ACE)

6-8.     ピオグリタゾン (チアゾリジン)

6-9.     ピタバスタチン (スタチン類似物)

 

6-10.    プランルカスト

6-11.    ブロナンセリン

6-12.    ミコフェノール酸

6-14.    モンテルカスト

6-15.     レバミピド (大塚)

 

6-17.     GT-863 (HCl)

6-18.     SN-38 (HCl)

 

 

 

上記化合物は一般的な生活習慣病薬として広く利用されている既知化合物である。
すでに一群の受容体拮抗薬、酵素阻害剤としてその分子メカニズム(薬理作用)が十分に検証されているが、
癌代謝調節に関する明確な知見(評価)は皆無であった。この点が本特許化に至った根拠である。

従って本特許化合物の具体的な医薬用途として、直接的な投与、あるいは栄養輸液による補助的投与が直ちに可能であると考えるに足るエビデンスがある。さらに実効的な癌治療においては、癌予後効果、術後の再発予防、管理等の直接的な適用が可能であることが期待される。

 

【実験の部】

1.   癌代謝アッセイを行う細胞系3種の作成

 

2.   各種ジェネリック薬及びカルボン酸類のアッセイ法

 
3.   代表的ジェネリック薬の癌代謝調節効果の評価

特に活性の強いものが上記6 で示された化合物群 である。

 

 

 

 

【効果)】

既存ジェネリック薬の癌代謝調節効果に関する科学的エビデンスは皆無であった。

その一方で、各種の混合薬剤による(根拠不明瞭な)癌治療(予防、予後)の可能性を論じた特許、非特許論文は数多く存在している。

 

例えば、スタチン類については癌治療への期待を抱かせる報告も多いが、その効果の詳細な分子レベルでの解明はなされていない。即ち既知の酵素阻害の延長上にある知見に留まっている。本特許では複素環スタチンにおける顕著な癌細胞運動制御効果を提示した点が、既知特許とは明らかに異なる点である。

同時に、類似の複素環構造を持つシロスタゾールやレバミピドも癌運動性に関与するシグナル系に関与することも解明された。その一方、エパルレスタットはスタチンとは異なる様式で癌代謝に関与することも解明された。

 

このように、独自に3つの異なる細胞系を組み合せる簡便なトリプルアッセイ法(増殖、運動、EMTアッセイ)の効果によって初めて、上記ジェネリック薬(とその類似物)、及びカルボン酸誘導体が、特長ある癌代謝調節効果を示す明確なエビデンスが提供された。この代謝制御のより正確な分子メカニズムについては、おおまかに二つの型(スタチン型とエパルレスタット型)があることが把握された。

 

本特許の発見は、C5単位の脂肪酸代謝(メバロン酸経路)に近似した化合物が過剰な脂質代謝に影響を及ぼすことを示し、薬理学上のアンタゴニスト作用、あるいはインバース・アゴニスト作用として理論的に包括、理解できる事実である。ここに示した癌代謝調節分子の多くががヘテロ原子、ヘテロ環構造を含むことは、癌代謝へのインバース効果が、化学的な酸化還元反応への関与であることも示唆される。

 

一連の実験結果と論証から、これまで示唆的報告のあった各種ジェネリック医薬品を単独で癌代替治療に使用できる明快な知見が得られ、癌予防や予後治療の候補として単独活用できる道が開けた。

これらの結果は、直ちに活用できるジェネリック薬や栄養素の提示を最新の科学的なエビデンスと共に癌患者に提供できることになり、医療上の簡便性、安全性、経済性の面からの価値は大きい。