2012年12月30日日曜日

免疫事故 ②

◆ あわてる免疫


病気の原因は 複雑多岐 千差万別 である。

なぜ、自分を守る免疫が、自分を攻撃するのようなことになるのか。

その原因は、免疫に攻撃されてしまう自己と、
攻撃する免疫の両方に関係している のだろう。

以下には 複雑怪奇な 自己免疫疾患についての
比較的納得しやすい 考え方=理解の仕方 をまとめておく。

この ページだけ読めば(他のところは) 読まなくてもよい。



前回も書いたように、 自己免疫性疾患の原因 について最も妥当な解説をしているのは<メルクマニュアル家庭版>です。 (ためし、に

自己免疫疾患の ページを 当ってみて下さい。)

今のところこれ以上の、 <説得力のある説明>をみたことがない。



以下のような4つのケースが書かれている。 このうち、2と3は同じことを言っている。 

たまたま、生体物質のような異物が侵入したり、生成したりすると、免疫システムがすぐに刺激を受け、生体物質や細胞をとらえて破壊し始める。わずかに変化した自己を容赦なく攻撃するということである。免疫の感受性が異常になったと言えるかもしれない。

 

2の説明は幅広く、一般的な解説として納得できるものである。




1. 正常な状態では免疫システムには見つからないはずの物質が、事故や病気で血流に放出された場合。 たとえば、眼を強打すると眼球中の液体が血流中に放出され、この液体が免疫システムを刺激して攻撃を引き起こす。


2. 体内の正常な物質や細胞がウイルス、薬、日光、放射線などによって変質した場合。 変質した物質は免疫システムには異物とみなされる。たとえばウイルスは体内の細胞に感染して細胞を変質させ、その細胞が免疫システムを刺激して攻撃を引き起こす。


3. ある体内物質に似た異物が体内に侵入した場合。 免疫システムは見分けがつかず、異物だけでなくその体内物質も攻撃してしまう。


4. 抗体の産生をコントロールする細胞、たとえば白血球の1種であるBリンパ球が機能障害を起こし、正常な体内細胞を攻撃する異常な抗体をつくる場合。 



要するに、自己免疫疾患のはじまりは、異物の刺激にあわてて、適切な抗体を作るゆとりがなくなってしまう(強すぎる抗体)状態 であると言えます。


2012年12月27日木曜日

免疫事故 ①

◆ 攻撃的な免疫


 

ワクチンは人類が開発した画期的な医薬品であり、免疫作用を巧みに利用している。

すなわち、病気の原因となる病原体を弱毒化して病原性をなくし、安全な抗原として体に入れ、免疫を活性化してのぞみの抗体を作らせるものである。

病気のあるところ、ワクチンの助けあり、である。


もともとは、E. ジェンナーがウシの病気(牛痘)を利用して成功した天然痘ワクチンに始まり、BCG、ポリオワクチンなどのワクチンなどではその恩恵を受けていない人はいない。

BCGはもはや病原性がなくなり、抗原性だけを示す大変優れたワクチンになっている。しかし、すぐれものばかりでないのがワクチンの怖さであることを、以前のコラムで強調した。

 

 

外敵から身を守る基本としての免疫機能では、自分と異なる外敵(異物)を抗原とみなし、抗体という武器を作って反撃する、これを抗原抗体反応と呼ぶ。この免疫機構こそが、病気から身を守る自前の武器である。免疫が、タイムリーに働いて、外敵をやっつければくすりはいらないし、癌細胞もやっつけられる。

 

 

しかし、この便利な免疫が何かの原因で、壊れてしまうと、癌やさまざまなやっかいな病気になる。その総称が、以前このコラムでも取り上げた、自己免疫疾患である。




感受性の高い免疫が体に入ってきたウイルスをやっつけようとして、ウイルスが感染した臓器までも破壊してしまうような 過剰攻撃をするのが自己免疫疾患と言うことができる。
具体的な病名として有名なものは、膵臓で起こる1型糖尿病、甲状腺で起こるバセドウ病や橋本病、膠原組織で起こる膠原病やリウマチそして、全身性エリテマトーデスなどがある。
(過去のコラム: 自己免疫疾患、やっかいな病気 参照)


ここで改めて議論を深めたいのが、自己免疫疾患の 原因(スイッチ)である。


自己免疫性疾患の原因 について最も妥当な解説をしているのは、メルクマニュアル家庭版である。化学の目で、なぜこの病気が起こるのかをよりはっきりさせるために、このコラムではさらに探求を進めていきたい。なぜ、免疫が狂ってしまうのか、基本となる 抗原抗体反応 とはどんな反応なのかを考えていきたい。




2012年12月20日木曜日

薬害の歴史 5

◆ 薬害の失敗学


失敗から学ぶことで技術や安全は進歩する。薬害はいわば医療における失敗であるから、そこから学ぶ姿勢が必要である。

 薬害に遭わないようにする法則 をここにまとめておく。

歴史は繰り返す、しかし 薬害は繰り返してはいけない。

 

 

1. くすりにはすべて副作用があると考えて利用する。

 

2. 従って、くすりは長期間利用しない。

 

3. 特に、新しいくすりにとびつかない。

 

4. 医師にゲタをあずけない 強い患者でありたい。




ここで、もう一度このコラムの一番初めの話題、 患者学のすすめ① を見て頂きたい。
患者になってくすりを渡された時、くすりを飲むまえに強い患者であることが重要です。
薬害は、起こってからでは手遅れである。





薬害の歴史 4

◆ 生物製剤 (動物タンパク) による薬害

サリドマイド、イレッサ、パキシルなどはいわゆる低分子型の医薬品です。分子量がせいぜい500前後の有機化合物で、人工合成化合物です。 人工有機化合物です。


これに対して、生物学的製剤(生物製剤)と呼ばれているものが、ワクチンや血液製剤です。これらには、他の動物のタンパクが含まれています。


抗原=タンパク質=抗体のタ~ゲット

すなわち、ワクチンは弱毒化した病原菌やヒト以外の動物の成分を使って作られます。事故のあった新日本脳炎ワクチンにはウシの血清のほか、ウシ及びブタやヒツジ由来の 動物成分が使われています。

 

従って、生物製剤では免疫反応を起こしやすく、免疫かくらん物質による治療効果を無理やり期待するものもあり、予期せぬ副作用や致死的な作用が現れやすいのです。

 

血液製剤はヒトの血液が原料になっていますが、その血液が病原ウイルスによって汚染されていたために起こったのが、薬害エイズ、薬害肝炎です。



生物製剤は今後も使われ続けると思います。感染症のみならず、癌ワクチンや抗体医薬などは現代医療の最先端で使われる運命にあります。ということは、薬害はなくならない、決して根絶できない公害ということになります。






2012年12月19日水曜日

薬害の歴史 3

◆ グラクソ社(GSK) による薬害

グラクソ・スミスクライン(GSK)社は 世界有数の大製薬メーカーで、日本でも多くのくすりを売っています。

日本に、沢山の危険なくすりを持ち込んでいる、海外メーカーの代表のような会社です。

グラクソ社が日本(や世界)で問題を起こしているくすりには、このコラムでも何度も触れた、パキシル があります。パキシルはやめたほうが良いくすりの横綱です。 

パキシルの注意書きには、危険性に関する警告が出ています。


その他のさまざまな不適切なくすりの販売に対して、グラクソ社は米国FDAから、厳しい賠償の支払い命令を受けています。サリドマイドを作った、ドイツのギュルネンタール社と似たような、節操のないくすりの販売活動に走っています。

 

 

日本の製薬メーカーのコマーシャルには、くすりを飲む時は、どこのくすりかも重要なことだとアピールしているものが有りました。まさに、前科のある会社のくすりは、できるだけ避けたいと思います。

 

 

グラクソ社の最近の販売活動で注意すべきは、子宮頸がんワクチン のサーバリックスの販売活動です。子宮頸がんワクチンは、このコラムでも、その接種を疑問視してきました。インフルエンザワクチン と同じ、いらないくすりです。



 薬害の歴史は戦争と同じくらいの貴重な教訓です。


2012年12月18日火曜日

薬害の歴史 2

◆ イレッサ 薬害事件

日本で起こった薬害事件としてごく最近の イレッサ薬害  を忘れてはいけない。

 

関与した製薬会社は、プロトンポンプ阻害剤(PPI; オメプラゾールなど)の開発で有名なアストラゼネカ社である。

 

他のすぐれた製品でも有名な、優良製薬会社である。世界的に有名な、優良製薬会社が起こした薬害が イレッサ薬害 事件である。

 

イレッサは、待望された肺癌の薬である。それも、手術ができない肺癌のくすりとして登場した新薬である。しかいs、こういう新薬こそ、「神と悪魔の薬」 である可能性が高い。抗癌剤による薬害として、日本の薬害の歴史に残るものです。あせる優良製薬会社と、甘い認可をした厚生省の人為的な被害であることがよく分かる例です。


イレッサは2002年7月に、約5か月という異例のスピード審査で世界に先駆けて、日本で承認された薬である。その発売直後から、間質性肺炎などの急性肺障害による死亡報告が相次いだ。一昨年までに、819人の患者が死亡する薬害を引き起こした事件である。

 

 

サリドマイド薬害による被害の判明数は309人であるのに対し、イレッサ薬害では819人であることを、忘れてはならない。




 

2012年12月17日月曜日

薬害の歴史 1

◆ サリドマイド薬害事件

 日本で起こった薬害事件としては サリドマイド薬害 が最も有名です。

 

サリドマイドというくすりは本コラムでも、「神と悪魔の薬」 として取り上げています。もし、薬害について学びたかったら、是非この本を読んでみて下さい。薬害は、完全な人為的被害であることが分かります。


実は同じ時期には、キノホルムによるスモン薬害も起こりはじめていました。そこで、厚生省が作った資料を見てみると、日本で初めに起こった薬害は、な なんと ジフテリアワクチンによるものであったことが分かります。これは、大きな歴史的教訓です。ワクチン、睡眠薬、整腸薬(日常薬)には十分気をつけろ、ということです。

 

戦後の西ドイツのいいかげんな製薬会社が開発した睡眠薬サリドマイドは、日本では1958年から発売されました。それが、世界中でも発売されていましたが、日本では、使用停止のリアクションが一番遅れました。製薬会社と行政(厚生省)の怠慢が招いた不幸でした。

 

 

歴史的に、日本における薬害事件に登場する悪役は、越後屋=製薬会社、とお代官様=厚生省であるという構図が成り立っています。

2012年12月15日土曜日

薬害の歴史 0

薬害は止まらない公害


公害は、産業革命時のイギリスに始まったように、産業社会が生み出した化学物質による広範な人的被害である。企業が排出する有毒物質による、広範囲にわたる公害病の発生として知られている。 つまり、公害tとは 化学物質による公害病の発生 と等価である。

 

日本でもいくつかの大きな公害が知られているが、最も古いものは、足尾銅山の鉱毒事件で、明治の富国強兵政策のもとに発生した汚染である。公害は、環境汚染である。

有名な水俣病(熊本、新潟)も、イタイイタイ病も、四日市ぜんそくも、みな高度成長期の日本における、環境汚染、食品汚染による人的被害=公害病 であった。

 

最も最近であれば、やはり福島原発事故である。これは、最も危険な化学物質(放射性元素=セシウムやヨウ素)を地表にばらまいた。そのため、近隣の住民は危険を察知し、逃げた。そして細かく測定した。従って、死者は出ていない。そのためかこの原発事故に対し、誰も公害とは呼んでいない。



公害には大企業が関与し、原因となる化学物質が存在し、それが特有の病的症状を引き起こした。公害病は、化学物質による回復不能な人的ダメージである。

 

薬害(やくがい)は、くすりという化学物質による、致死的、または回復困難な公害現象であり、その背景に製薬会社と国の体制に原因があることがしばしばであった。薬害についてやっかいなことは、これがふえ続ける公害であるということである。



2012年12月14日金曜日

ワクチン死の真実

◆ 日本脳炎ワクチン死 (4)



事件や事故の被害者の方がよく叫んでいる言葉に、

「真実が知りたいだけです」

という言葉が繰りかえされる。

 

 

事故や事件に際しては、必ずと言っていいほど、都合の悪いことは隠ぺいされる。事故の詳細は分からないが、隠ぺいがあるのは事実である。

 

 

今年10月に起こった日本脳炎ワクチン死に関しいては、専門知識を持ってしても、真の因果関係を説明することは難しい。しかし、ワクチン接種後2時間で、突然死した事実は忘れてはいけない。

 

もし 自分の子供がワクチン接種で突然死するようなことがあったら、 「真実が知りたい」 という言葉を発せずにはいられない。 これまで、ワクチン接種による死者がどのくらいでているのか、しっかり調べておきたい。




いまひとつ大事なことは、ワクチンの製造法をしっかりと、調べることである。製造法に不審な点があれば、疑いを持つことが必要である。今後は、新ワクチンが始まる際にはきちんと、調べておかなくてはいけない、チェック項目になる。