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2014年4月7日月曜日

過剰摂取OD: ビタミンC

★ 明治病根論(改定): ビタミンC と 精神疾患

 
栄養と医学  の知識に欠如した  二十世紀初頭に
世界を相手に戦争をした明治の時代は 

戦死の連鎖
を引き起こした 悪夢の時代  であった。

 <NHK連続テレビ小説:花子とアン の時代である>


 主人公花子が小学校に上がる時は、

日本全国に軍人募集の布告
が行われ、男子の人気職業は 軍人 であった。
それはまた、軍人になれば まともな食  にありつける...
という 貧しい明治の食生活の 鏡像でもあった。

明治という 坂の上の雲に 向かって走る時代は
戦死者と病死者の数が 

同じくらいになる
 歴史的 トラジェデイーの時代  だった。

ビタミンCの歴史も 

人類と病気の歴史 そのものである。
最近になり、ビタミンCの <気分障害との関連> 

が示唆されている。

<< 気分障害とは 一言で表現すれば
「突然なぐりかかる人」症候群であり、
 戦争体験後の 「PTSD」 であり、
アルコール依存の 前兆になる疾患である
メンタル・デイススオーダーであり、
思考秩序の喪失 現象である >>

一方、ビタミンDには 脳エネルギー代謝に関与するという
報告があった。


☆  以下は えんどうまめ先生の NPO HPから抜粋;

ビタミンCが,生体内における酸化防御機構に寄与している事は
周知であるが,<ビタミンと情動(感情)の変化に対する関わり>
については不明な点が多い。

ビタミンCは,情動の変化と密接に関わっている
<神経伝達物質:ノルアドレナリンの生合成に必要な補酵素>

として働き,また脳脊髄液中のビタミンC濃度が
血漿中濃度に比べ高いことを考えると、情動をつかさどる脳内の機
にビタミンCが何らかの役割を担っていることが推察できる。

カナダ:マックギル大学とユダヤ総合病院の調査では,
急性期入院患者60%,外来患者の16%でビタミンCが欠乏している
ことが報告された。

その原因としては,炎症や代謝ストレス(酸化ストレスなど)によ
異化作用の増加でビタミンCの消費が増大したことによると考えられるが,
詳細なメカニズムについては不明である。

別の報告では,ビタミンC欠乏を呈した入院患者の背景を調査したところ,
ビタミンCの低下に急性期反応の有無,生活環境,タバコ及びアルコールの消費などが関連していることが示された。

急性期入院患者におけるビタミンCの欠乏は,
同患者でしばしば認められる<気分障害>の原因になっている
可能性が考えられた。Hoffer博士らはビタミンCを摂取することで
入院患者の気分障害を改善させることができるのではないかと考え検討を行った。

32例の急性期入院患者を無作為に分け,
ビタミンC を500 mgまたはビタミンD を1000 IUのどちらかを1日2回10日間摂取してもらった。ビタミンDは,その欠乏が気分障害に関与している可能性が報告されていることから選択された。

Profile of Mood States(POMS)で気分障害の程度を評価し(高スコアほど深刻な気分障害と定義),血液を採取して血中の各ビタミン濃度を測定した。

ビタミンCを摂取した患者では血漿中,単核白血球中ともにビタミンC濃度が上昇し,気分障害スコアが<34%減少>した。

一方,ビタミンDを摂取した患者では,血漿中のビタミンD濃度は上昇したが,
気分障害スコアには 有意な変化がなかった。

これらの結果から,ビタミンC欠乏を呈した急性期入院患者では,ビタミンCの摂取がその欠乏を改善し,気分障害を軽減することが示唆された。

ビタミンCは野菜,果物などに多く含まれているため,安全で容易に摂取できる。成人の1日あたり摂取推奨量は100 mgである。

☆  食後にビタミンCを100 mg摂取した時では,
その80〜90%が腸管から吸収されるが,5,000 mgの摂取では逆に
20.9%の吸収と <一度に多く摂取した方が吸収率は低下> する。

このことからビタミンCの摂取量は,多いほど体内への吸収率は低下し
排泄率も高くなる。

ビタミンCや栄養機能食品は,
推奨量を目安に摂取するべきと考えられる。

ビタミンCは,気分障害の患者だけでなく,健常者であっても
様々な精神的ストレスによる気分障害の予防に役立つかもしれない

(北陸大学:光本教授=帝京大学薬・1期).
もっと見る

  • 鳥澤 保廣 健康食品(ビタミンやミネラル、セサミン)などの過剰摂取は 全く無駄なおまじない行為である。お金をドブに捨てるようなもの。ビタミンCは せいぜい、オロナミンC=一日1本 200㎎程度 で十分である。
  • 鳥澤 保廣 過剰摂取した水溶性ビタミンは腎臓にたまる。脂熔性ビタミンは 脂肪組織や 核(ビタミンA)に行く。核内に入る過剰な化学物質は 癌化の引き金になると 考えてよい。

2014年3月6日木曜日

仮想の分子標的 (Putative Molecular Targets for AD)


アルツハイマー病に関係する (仮想)分子標的: 

A β Amyloid Tau Amyloid;


 

βアミロイド(β amyloid:A β)の付着はアルツハイマー病の発病初期に見られ,続いて変性神経原繊維NFT 内に Tauを含む二重らせん,Paired Helical Filaments(PHFs) の形成が起こります.

変異を受けたプレセニリン,PS1, PS2 変異がアミロイド付着を促進することが報告されています.

老人斑の核となるA βは38-43 アミノ酸残基からなりますがその中でもA β 42 が多く,A β 40 よりもずっと速く繊維状の集合体を作ります.A β遺伝子は21 番染色体上にあり,膜貫通性のアミロイド前駆体タンパク(APP) をコードしており,APP がA βとなります.

 

A βのプロセシングと分泌は2 段階の分解過程を経て行われます.第一段階はβセクレターゼにより行われます.APP のMet671 のところでAPP が分解され,Asp672がアミノ末端となります.

第二段階はγセクレターゼにより,A β (A β 40-43) のC 末端部分が分解されます.

 

Tau は過剰にリン酸化を受け機能不全となる

アルツハイマー病の脳内でのTau タンパクの存在様式は著しく異常です.

アルツハイマー病では,通常水溶性の細胞骨格タンパク質であるTau や神経繊維が不溶性のPHF に変わっています.

これはTau が多くのキナーゼにより過剰にリン酸化されることが重大な引き金となります.

リン酸化はMAPキナーゼカスケード,NF- κ B の活性化を経由した酸化ストレスと接に関連しています.変性を受けている海馬の錐体ニューロンではフリーのカルボニル基,過酸化脂質の内在化,ニトロチロシンレベルの上昇が報告されています.

Tau は神経タンパク質で大部分がアクソン(軸索)に存在しており,細胞体に存在していることは少なく,神経突起にはほとんどありません.

 in vitro では,Tau はカルモジュリンキナーゼII,カゼインキナーゼII,PKA,ERK2,GSK3 など各種タンパクキナーゼの基質となります.

サイクリン依存性キナーゼ5 と,そのニューロン特異的p35 アクチベーター複合体(Cdk5/p35) もTau の過リン酸化に関与しているタンパクキナーゼです.

 

調節ユニットであるp35 はカルパインにより切断を受けてp25 となりますが,これはアルツハイマーの脳内に蓄積します.この切断は皮質ニューロン内でA βにより誘導されることが報告されています.

 

Tau のリン酸化に関与するタンパクキナーゼとしては他にMARK が知られています.この酵素は微小管結合領域のKXGS モチーフを選択的にリン酸化します.MARK はSer262 を主にリン酸化しますが,Ser293,Ser324,Ser356 もリン酸化します.

 

アルツハイマー病においてはTau のSer262 リン酸化が始めに起こり,Tau の機能が不全となってPHF,NFT 形成につながることが示唆されています.

 

PHF のTau は少なくとも19 か所でリン酸化されており,そのうち9 か所は Ser/Thr-Pro モチーフ をもっていることが報告されています.

 

Tau は過剰にリン酸化された結果,微小管と結合できなくなり,微小管の重合を促進することになります.過リン酸化されたTau は微小管ネットワークの安定性の低下,軸索輸送の阻害,NFT の形成,神経死の原因となります.

 

Tau は微小管結合部位の数箇所(Ser262, Ser356 影響大,Ser293, Ser324 やや影響大) がリン酸化されるだけで微小管への結合能を失ってしまいます.

 

さらに興味深いことに,過リン酸化されたTau はカルパインによる分解を非常に受け, 小管への結合能を失ってしまいます.

 

さらに興味深いことに,過リン酸化されたTau はカルパインによる分解を非常に受けにくくなります.

これはTau が,微小管結合部位どうしで自己重合し,カルパインがこれらの部位に近づけなくなった結果と考えられます.

 

Tau の自己重合は,酸化環境下で促進されます.また,酸化環境下でTau の集合が進むと糖鎖付加,つまり非酵素的な還元糖の付加がおこります.これはリジン残基のところで起ることが多く,Schiff 残基の形成の結果だと思われます

 

糖鎖付加と過リン酸化が両方されたPHF-Tau は,過リン酸化だけされていて糖鎖付加されていない可溶性Tau と比べて微小管結合能が格段に落ちます.酸化的架橋を受けることによりタンパク質はプロテアソームの活性を阻害することにで分解を受けにくくなります.従って酸化的架橋はNFT 内でのユビキチン抱合体の蓄積の重要な原因かもしれません.神経変質性を伴う疾患ではユビキチンの濃度が高くなっていることも報告されています.それで,酸化ストレスを減らすとアルツハイマー病の発症を抑えるうえでの治療的効果があるのかという重要な問題が上がってきます.

 

実際,フリーラジカルの生成を抑える薬品がアルツハイマー病の発症と進行を遅らせることが示されています.

14. アルツハイマー症関連阻害剤

 

もう一度、<Tau の酸化>について考える;

Tau の自己重合は,酸化環境下で促進されます.また,酸化環境下でTau の集合が進むと糖鎖付加,つまり非酵素的な還元糖の付加がおこります.これはリジン残基のところで起ることが多く,Schiff 残基の形成の結果だと思われます.糖鎖付加と過リン酸化が両方されたPHF-Tau は,過リン酸化だけされていて糖鎖付加されていない可溶性Tau と比べて微小管結合能が格段に落ちます.

 

酸化的架橋を受けることによりタンパク質はプロテアソームの活性を阻害することにで分解を受けにくくなります.従って酸化的架橋はNFT 内でのユビキチン抱合体の蓄積の重要な原因かもしれません.神経変質性を伴う疾患ではユビキチンの濃度が高くなっていることも報告されています.

 

それで,酸化ストレスを減らすとアルツハイマー病の発症を抑えるうえでの治療的効果があるのかという重要な問題が上がってきます.実際,フリーラジカルの生成を抑える薬品がアルツハイマー病の発症と進行を遅らせることが示されています.プロピル没食子酸,ビタミンE などの抗酸化剤,Ntert- ブチル- β - フェニルニトロンのようなスピントラップ剤はA βを与えた培養細胞での神経毒性を減少させます.

 

ビタミンE はラットにおいて海馬の神経の生存を促進し,機能低下したコリン作動性ニューロンを回復することが報告されています.ニューロンのダメージを最少化する別の方法としてAPP からのA βの生成を減らす,または阻害するという方法があります.β , γセクレターゼの活性を阻害することは魅力的な治療法です.というのは臨床的にこの段階に介入することで,老人斑の形成と神経細胞死にいたる初期段階に

効果があると考えられるからです.

 

 

14. アルツハイマー症関連阻害剤__

 

Indirubin-3´-monoxime 402085

サイクリン依存性キナーゼの強力な阻害剤(Cdk1 に対してIC₅₀ = 180 nM).広い細胞スペクトルに対し,細胞周期をG₂/M 期にとどめることによって増殖を阻害します.in vitro でタウリン

酸化を阻害し,in vivo ではアルツハイマー疾患に特異的な部位タウリン酸化を阻害します.CdK5 によるDARPP-32 のThr75 のリン酸化をin vivo で阻害することも報告されています.

Indirubin-3´-monoxime, 5-Iodo- 402086

グリコーゲンシンセターゼキナーゼ3 β (GSK-3 β ) の極めて強力な阻害剤(IC₅₀ = 9 nM).Cdk1(IC₅₀ = 25 nM) およびCdk5(IC₅₀ = 20 nM) の活性も阻害します.インジルビン誘導体は,Cdkと結合する場合と同様に,GSK-3 βのATP 結合ポケットに結合します.GSK-3 βとCdk5 は,大半の場合,アルツハイマー病(AD) における微小管結合タンパク質Tau の異常な過剰リン酸

化の原因となっています.

Indirubin-3´-monoxime-5-sulphonic Acid 402088

Cdk1(IC₅₀ = 5 nM) およびCdk5(IC₅₀ = 7 nM) の強力な阻害剤.グリコーゲンシンセターゼキナーゼ3 β (GSK-3 β ) も阻害します(IC₅₀ = 80 nM).このインジルビン誘導体は,Cdk との結合と同様,GSK-3 βのATP 結合ポケットと結合します.GSK-3 βとCdk5 は,大半の場合,アルツハイマー病(AD) における微小管結合タンパク質Tau の異常な過剰リン酸化の原因となっています.

Ro-31-8220 557520

{3-[1-[3-(Amidinothio)propyl-1H-indol-3-yl]-3-(1-methyl-1H-indol-3-yl)maleimide; Bisindolylmaleimide IX, Methanesulfonate}

プロテインキナーゼC(PKC) の競合的阻害剤(IC₅₀ = 10 nM).CaM キナーゼII(IC₅₀ = 17 μM),プロテインキナーゼA(IC₅₀ = 900 nM) から選択的に作用します.また,MAP キナーゼ・フォスファターゼ1 の発現の阻害剤,かつJNK1 の活性化因子アクティベーターです.HL-60 細胞において,PKC への効果とは独立にRaf-1 のリン酸化を阻害し,アポトーシスを誘導します.CAS

138489-18-6.

InSolution™ Ro-31-8220 557521

{3-[1-[3-(Amidinothio)propyl-1H-indol-3-yl]-3-(1-methyl-1H-indol-3-yl)maleimide; Bisindolylmaleimide IX, Methanesulfonate} Ro-31-8220 ( 製品番号 557520) の5 mM (500 μg/182 μL) 水溶液です.

 

 

2014年2月26日水曜日

アリセプトへの道=創薬インタ~シップ講義資料:0227

タクリンから ドネペジル(アリセプト) への道

(杉本桶狭間創薬:第2弾)


 

背景(過去): タクリンは1931年(戦前)に、抗菌作用を目的として合成された。その後、タクリンは1986年(戦後40年)に、中枢疾患治療薬としての臨床試験結果が報告され、1993年に至り、FDAはタクリンをAD治療薬として世界で始めて承認した。

しかし、肝機能障害のため現在は使用されていない

 

タクリンの承認から3年後、

1996年にFDAはドネペジル(アリセプト)を 新たなアルツハイマ~(AD)治療薬として承認した。



ドネペジルは従来から知られていた化合物ではなく、
新規な構造を有する 世界初のAchエステラーゼ阻害剤=分子標的薬である。

 

●シード物語: ドネペジルは 分子標的薬の開発 を理解するには格好のテキストである。



ドネペジル開発の端緒になったシード化合物(1)は



偶然にも、薬理担当者からの アドバイスによって発見された。即ち、シード化合物は、別のPJで合成されたものだが、ラットにおいて 縮瞳、流涙などのAch作用が認められていた。


 

シード化合物(1)の誘導体を約100種類ほど合成すると、
Ach阻害作用が70倍も強くなった化合物が見出された。

しかし、インビトロで高活性であったものの、
インビボではでは、作用が認められなかった。

 

●リード物語(その1): 

ここで、

評価系の酵素をウナギから ラット由来の酵素に変えたところ、明らかにAch阻害作用は低く、1/40ぐらいの値だった。


そこで、ラットを使ったインビトロ系で、3年間に700程度の化合物が合成され、


その中から、最強のAch阻害剤(2)を見出すことができた。

リード化合物(2)は初めのシード化合物(1)と比べ、2万倍以上強い阻害活性を示したが、大きな問題点が見つかった。


 

●リード物語(その2): 

リード化合物(2)の問題点が

臨床試験(治験)直前に明らかになった。

 

☆ 2は、生体利用率(BA)が2%と極めて悪く、

98%が肝臓で分解されてしまうか、または吸収されないで、

排泄される運命にあった。


テーマは臨床研究担当者から猛反対され、一端終結 した。


 
 

◎ドネペジルへの展開: 
 
阻害活性の向上は多くの化合物を合成することで、デザインできたが、BAの改善はなかなか予想が付かないものだった。
 

薬物代謝(動態)の観点から見ると、

アミドN-メチル基の脱メチル化が主たる代謝経路である。

この点から、脱メチル化反応の起こらない、環状構造をした化合物のデザインが、突破口になった。


二環性化芳香環化合物を合成すると、
そのBAも満足できるものになった。 

そして最後のさいごに、

インダノン骨格 へとたどり着いたのである。

 
 
(杉本リーダーは思わず心で叫んだ!これでイインダノン! !!)
 

 

◎  ドネペジルはインダノン骨格を持ち、

  ベンジルピペリジン基を導入することで、

     満足するBAが得られた完成品である。

 

 

イヌのBAは60%、ヒトのBAは40%と改善され、

ヒトにおける血中濃度の半減期は70時間を越えるものであって、

このことが、ドネペジルの臨床試験で、一日一回投与を可能にした。


 

2014年2月11日火曜日

タクリンと ドネペジルの話。


タクリンからドネペジルへの道


 

背景(過去): タクリンは1931年(戦前)に、抗菌作用を目的として合成された。その後、タクリンは1986年(戦後40年)に、中枢疾患治療薬としての臨床試験結果が報告され、1993年に至り、FDAはタクリンをAD治療薬として世界で始めて承認した。

しかし、肝機能障害のため現在は使用されていない

 

タクリンの承認から3年後、1996年にFDAはドネペジル(アリセプト)を 新たなAD治療薬として承認した。



ドネペジルは従来から知られていた化合物ではなく、新規な構造を有する 世界初のAchエステラーゼ阻害剤=分子標的薬である。

 

●シード物語: ドネペジルは分子標的薬の開発を理解するには格好のテキストである。



ドネペジル開発の端緒になったシード化合物(1)は


偶然にも、薬理担当者からの アドバイスによって発見された。即ち、シード化合物は、別のPJで合成されたものだが、ラットにおいて 縮瞳、流涙などのAch作用が認められていた。

 

シード化合物(1)の誘導体を約100種類ほど合成すると、Ach阻害作用が70倍も強くなった化合物が見出された。

しかし、インビトロで高活性であったものの、
インビボではでは、作用が認められなかった。

 

●リード物語(その1): 

ここで、評価系の酵素をウナギからラット由来の酵素に変えたところ、明らかにAch阻害作用は低く、1/40ぐらいの値だった。


そこで、ラットを使ったインビトロ系で、3年間に700程度の化合物が合成され、

その中から、最強のAch阻害剤(2)を見出すことができた。
リード化合物(2)は初めのシード化合物(1)と比べ、2万倍以上強い阻害活性を示したが、大きな問題点が見つかった。

 

●リード物語(その2): リード化合物(2)の問題点が臨床試験(治験)直前に明らかになった。

 

2は、生体利用率(BA)が2%と極めて悪く、98%が肝臓で分解されてしまうか、または吸収されないで、排泄される運命にあった。


テーマは臨床研究担当者から猛反対され、終結した。

 

◎ドネペジルへの展開: 阻害活性の向上は多くの化合物を合成することで、デザインできたが、BAの改善はなかなか予想が付かないものだった。薬物代謝(動態)の観点から見ると、アミドN-メチル基の脱メチル化が主たる代謝経路である。この点から、脱メチル化反応の起こらない、環状構造をした化合物のデザインが、突破口になった。

二環性化芳香環化合物を合成すると、そのBAも満足できるものになった。 そして最後のさいごに、インダノン骨格へとたどり着いたのである。

 

◎  ドネペジルはインダノン骨格を持ち、ベンジルピペリジン基を導入することで、満足するBAが得られた完成品である。


 
イヌのBA60%、ヒトのBA40%と改善され、ヒトにおける血中濃度の半減期は70時間を越えるものであって、このことが、ドネペジルの臨床試験で、一日一回投与を可能にした。

 

2014年1月19日日曜日

薬学愛論その2


☆ Face Book に書いた旧友への 薬学・ナウ。


ボクは高校の時は、1年から3年まで一番勉強したのは生物。
NHKテキストも集めた。化学は 試験のためだけの勉強だったし、化学でメシを食おうとは思わなかった!ボクが薬学に入った70年代は、薬学の生物系は、フォーカスが定まっていなかった。おまけに、薬学4年の時に、微生物の教室に入ることも考えたが、教室配属で女性陣のスクラムが強く、ハジキ飛ばされて合成系へと進んだので、薬品合成化学が修士までの専門になった。後は帝京大でズルズルと 製造化学をやり、大塚では 医薬生産部に属したが、圧倒的に面白かったのは 大塚製薬・医薬生産部での仕事、三度のメシより面白かったし、カラオケも格段にうまくなったよ。
  •  
  •  
  • 高崎にきてから、薬物代謝、動態の大先輩に出会ったので 
  • なんとか薬を教えられるようになった。
    6年制薬学は化学の上に、薬理学や病理学という臨床的な 花 が咲くようになった。もはや 創薬研究は薬学部ではできない。薬剤師養成という名の おもてなし教育が主流となった。
  • この辺の6年制薬学・ナウ という憂うべき現状について 原稿を作っています。薬剤師という資格と、メシの種を求めて、医学部と同じお金をつぎ込むようなご時世だから、テンションの高い学生は、医学部へ流れていく。濁流の中の6年制薬学だな。教員も、私の周りに限れば、『薬学部が良くなった『という人は、きわめて少ない。
  •  
  •  
  • おまけに、スマホ学習の横行がある。おととし薬学7年生(一期生)のリクエストで薬学ブログを始めた。看護学部の授業では、終りの30分だけ、スマホ解禁にして 自習という名の まとめ を行っている。講義はどこでも、PPT、おまけに PPTを配布資料にしている。これをやると、城報収集力とそれと一番重要な、テイスト即ち、情報選別力がつかない。
  • 誰かの意見や考えに イイネ しいているだけだ。 イイネじゃないね!という力量がないと、医療人としては 不十分だ。医師や看護師に イイネ するだけの薬剤師はイラナイ。

  • 2014年1月18日土曜日

    Imidazole Containing Statins

    The Imidazole-Based Statins



    Abstract Image



    Development work toward an enabling synthesis of preparative scale batches of an imidazole-based HMG-CoA reductase inhibitor is described.

    The desired target was synthesized in 16% yield over 7 steps, highlighted by an imidazole-forming condensation reaction in which the yield was improved from 20% to >70% via modification of the solvent, acid, and amine equivalents. The step 2 acylation was improved, and a problematic benzyl ester in step 4 was converted into the corresponding benzyl amide to decrease trans-amidation during the step 5 imidazole formation. A highly effective salt formation and crystallization protocol was also developed.


    Citing Articles

    Citation data is made available by participants in CrossRef's Cited-by Linking service. For a more comprehensive list of citations to this article, users are encouraged to perform a search in SciFinder.
    This article has been cited by 2 ACS Journal articles (2 most recent appear below).

    Synthesis of 1,2,4,5-Tetrasubstituted Imidazoles by a Sequential Aza-Wittig/Michael/Isomerization Reaction

    Yi-BoNie, LongWang, and Ming-WuDing
    The Journal of Organic Chemistry2012 77 (1), 696-700
    Carbodiimides 4, obtained from aza-Wittig reactions of iminophosphorane 3 with aryl isocyanates, reacted with secondary amines in the presence of a catalytic amount of sodium alkoxide to give 1,2,4,5-tetrasubstituted imidazoles 7 in good yields.
    • Cover Image

      Development of an Early Enabling Synthesis for PF-03052334-02: A Novel Hepatoselective HMG-CoA Reductase Inhibitor

      Daniel M. Bowles, David C. Boyles, Chulho Choi, Jeffrey A. Pfefferkorn, and Stephanie Schuyler, Edward J. Hessler
      Organic Process Research & Development2011 15 (1), 148-157
      • Development of an Early Enabling Synthesis for PF-03052334-02: A Novel Hepatoselective HMG-CoA Reductase Inhibitor

        Daniel M.Bowles, David C.Boyles, ChulhoChoi, Jeffrey A.Pfefferkorn, and StephanieSchuyler, Edward J.Hessler
        Organic Process Research & Development2011 15 (1), 148-157
        Early process development work toward a promising pyrazole-based HMG-CoA reductase inhibitor is described. PF-03052334-02 (1) was prepared in 14 synthetic steps with a 21% overall yield, highlighted by a modified three-step hydroxypyrazole formation in ...

    Related Content

    COX-2 Inhibitor: NS-398 and Meloxican



    Cyclooxygenase 2 (COX-2) 

    is an Heme-Related Enzyme which catalyses the conversion of Arachidonic acid to a variety of Prostaglandins (including PG-E2).183

    Over expression of COX-2 has been implicated in inflammation and reported in a number of human cancers including lung, breast, skin, prostate and colon cancers.183



    Nimesulide is a selective

    COX-2 inhibitor, and is known to inhibit proliferation

    of tumor cells and induce tumor cell apoptosisin vitro,184,185

    as well as prevent metastasis in vivo.186–188



    Nonetheless, it has been suggested that COX-2
    independent mechanisms are involved in nimesulidemediated
    anti-tumor responses.189–191

    Liang et al.191 reported the downregulation of B7-H1 expression in
    IFN-c treated human breast cancer cells.

    They showed that COX-2 inhibitors other than nimesulide
    (NS-398 and meloxican) fail to inhibit B7-H1 expression.

    Furthermore, addition of PG-E2 to IFN-c treated breast cancer cells did not inhibit nimesulidemediated B7-H1 downregulation, which indicated
    that COX-2/PG-E2 independent mechanisms might
    be involved191 (Table 1).


    Inhibition of B7-H1 by Nimesulide can therefore be a potential therapeutic strategy to boost anti-tumor immune responses.