2012年10月29日月曜日

化学事故 3

KCl事故報道

 

基本操作を無視した事故例がある。塩化カリウム(KCl)は塩に似た無機化合物で、それ自体では特にどうということのない化合物である。低カリウム血症になった場合、静脈注射によってKCl溶液が注射される。このKCl溶液の注射を任された看護師が起こした事故である。

 

2002年から2012年の間で,高濃度塩化カリウム製剤の事故は10件以上報道されています.その原因の多くは,「点滴ボトル内に塩化カリウム製剤を混ぜる」ところを,誤って「直接投与」してしまったことによる医療事故でした.高濃度塩化カリウム製剤関連の医療事故をいくつかピックアップし,以下にまとめました.

 

 

    事故概要:

 

報道日 2012.3  准看護師(23)が,入院中の80代の女性の低カリウム血症に対し,塩化カリウムを希釈するべきところ原液を点滴.4日後に患者は心不全で死亡.准看護師は書類送検された.

 

報道日 2007.2.  看護師(22)が入院中の60代の男性患者に誤って塩化カリウム製剤を原液のまま直接静注し,直後に患者が心不全で死亡した.病院はミスを認め遺族に謝罪し,看護師は書類送検された.

 

報道日 2006.6.24  主治医が60代の脳梗塞患者に塩化カリウム原液とビタミン剤を混ぜたのち24時間かけて点滴するように看護師(21)に指示したところ塩化カリウム40mLを側管より注入.その直後心停止.蘇生治療を受けたが5時間後心不全にて死亡.病院はミスと死亡との因果関係を認め,謝罪した.看護師は書類送検された

 

 

報道日 2004.4 塩化カリウムを点滴に混ぜて患者に投与するように指示された女性看護師が,誤って直接静脈内に投与し患者が死亡.

 

 

報道日 2002.6.  「医療ミスで入院患者を死亡させた」と,警察署に届け出があった.死亡したのは60代男性で,点滴容器から体に注入すべき栄養剤の一種「塩化カリウム」を,誤って直接体内に入れたところ,容体が急変して死亡したという.同署は業務上過失致死容疑で職員から事情聴取するなどし,医療ミスの原因や詳しい死因などを調べている.同署は男性の主治医(34)と内科の看護師(21)から,同容疑で事情を聴いている.

 

 

 

化学事故 2

実習事故


ここでは3つの典型的な事故例を挙げて、その原因の解析を行う。一つ目は、体調不良の学生が起こした事故、二つ目は分かりきった基本操作を無視した(死亡)事故、三つ目は、新聞紙上をにぎわす爆発事故の裏にある管理体制の問題点 などである。これら三つの事故は、化学反応中での暴発事故ではなく、基本的扱い、あるいは保管中の事故であるところがポイントである。十分な安全教育が行われているために、そこで触れない部分が新たな事故の起きる場になっている。

 

初めの例は、実習の出席日数が足りなかったS君が特別に予備実習を受けた時のことである。本来の実習であれば複数人がグループになっているのが、特別の補講実習であったために、S君が一人で全行程を行うことになった。

 

この日S君は朝食抜きで大学に行き、(補講実験であるため)朝から実験を始め、夕刻近くまで実験室にいた。さらに悪いことに、実験を早く終わらせようと、昼食も抜いたのである。その日の夕刻、実験も終盤にさしかかった時、廊下へ出たS君は突然、意識を失いそのまま後ろ向きに倒れ、後頭部を強打した。廊下には血が流れ、S君は救急車で近くの専門病院に運ばれた。精密検査の結果、致命的な状況には至らないことが分かったが、食事をとっていない事を初めに言わなかったために、脳神経外科的な様々な検査を受ける羽目になった。S君は傷の手術を行い、約1週間の入院後に退院した。入院中S君は、食事抜きでの1日実験がきつかったことを明らかにした。

 

これは、補講実験という特別なものであるが、研究生活に入る前の学生実習では不慣れなために、予想以上の(個人差のある)ダメージがあることを注意しなければいけない。



化学事故 1

なぜ事故は尽きないのか



化学事故は尽きない。大なり小なり、誰しもが経験するものであるが、決して気分よく話のできるものではないし、真実についてもはっきりしないことが多い。事故を防ぐためには、この辺のあいまいさを振り払いたい。事故を玉虫色にして片ずけてはいけない。

 

最近では、十分時間をかけた安全指導が行われており、実験操作法の解説書や、事故例をまとめた清書なども豊富にある。にも拘らず、事故は尽きることはない。本来、考えたくはない事故のことを意識するか、しないかの違いが、悲劇につながったことは、先の福島原発事故でも分かる。実験の初めに、事故について考える癖をつけることが、事故を未然に防ぐ最良の手立てである。

 

この章では、過去の事故例を解析し、共通の原因、端緒を拾い上げることを念頭において解説するが、特に実験者側の心理まで突っ込んで考えておきたい。これが本章の特長である。何を考えて、何を考えなかったか、を検証してみたい。

化学事故の実例とその原因については、次の節で詳しく述べるが、大まかには1.実験者側のコンデイション不良; 2.実験環境(計画)の不良 のいずれかが含まれている。ここで特に重要なことは、実験者のコンデイション作り、即ちメンタルな部分も含めた実験者の体調である。体調不良で実際にどの程度の事故になったかは、次節で解説する。どれだけ厳密な注意をしても、無理をしたり、あわてて実験すれば、もともこもないのである。

 

学習実験では、指導者側も事故のことばかりを表にだせない。正しい操作法を強調するのが常である。しかし学習実験などは特に失敗する経験を積むことも必要であり、指導者側が実験のスピードや結果のみで評価をしないような姿勢も大事ではなかろうか。失敗する実験例を記し、それを考えて正しながらやるような実験書があってもよいのではないか。





2012年10月1日月曜日

やっかいな病気 ⑬

◆ 緑内症



http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2011/10/1005.html

 

40歳以上の日本人の20人に一人が、緑内症の患者だと言われます。

緑内障 は 眼圧の病気、自覚症状がないまま進行し、失明につながります。

白内障 は 水晶体の病気です。

網膜剥離 は硝子体の病気です。

 

緑内障は失明の原因の第一位になっている点注意しましょう。



★ 眼圧検査だけでは見逃されやすいことがあります。
★ ありがたいことに、くすりによる治療が進んでいます。
★ めぐすりをさしたら、しばらくは目をとじておきましょう。




http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

やっかいな病気 ⑫

◆ 網膜剥離



目の病気は大変厄介である。

治すくすりが少ない。そして、外科手術という物理的手段に頼らざるを得ない疾患である。従って、早期発見、早期対応が一番の策である。

 

 

目の手術は痛い、そして苦しい。

網膜剥離の手術を経験したが、5分もたなかった、というのが正直な話である。

手術後の対応も大変であった。ベッドにうつ伏せで寝たまま約1ヶ月を絶えなくてはならない。

 

眼病との付き合い

それは耐えることである。


http://www.amazon.co.jp/%E7%B7%91%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%82%92%E6%82%A3%E3%81%A3%E3%81%9F%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%81%A5%E5%BA%B7%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%80%8D-%E4%B8%89%E6%A9%8B-%E6%B8%85%E6%B2%BB/dp/4286012425




やっかいな病気 ⑪

◆ てんかん


 

車が突然暴走し、大事故を起こしたニュースで、しばしばてんかん患者が取り上げられることがある。てんかんは脳の神経系の暴走であるが、くすりでおさえられるようになった。

 てんかんであることを隠して仕事をしている人が多い世の中のようだ(下記)。そして たまたまくすりを飲み忘れたことで事故につながってしまったようだ。

 

社会の寛容性が足りないということが問題ではないか。てんかんだから、病気だからと言っても、雇ってもらえるような社会であれば、安全はさらに確保される。しかし、現実には 病人、特に精神的な病人は嫌がる社会の風潮がある。

 

 

昔から 癩病 てんかんは差別の対象になった。てんかん患者に対する寛容性、許容性こそが社会に求められることである。



持病のてんかんを隠して運転免許を更新し事故を起こした事件で、県警は1日、柏市船戸の医師、綱川慎一郎容疑者(38)を道交法違反(運転免許不正取得、過労運転)容疑で書類送検した。
 


送検容疑は、昨年11月の免許更新時、てんかんの発作で意識を失った経験があるのに申告せずに更新。今年3月21日、柏市内で乗用車を運転中に発作を起こし、自損事故を起こしたとしている。
捜査関係者によると、綱川容疑者は同容疑で逮捕された翌日の7月5日、取り調べ中に発作を起こして釈放され、以降は任意で取り調べを受けていた。事故前、診察を受けた複数の医師から運転を禁じられていたという。



てんかんは古くから存在が知られる疾患のひとつで、古くはソクラテスユリウス・カエサルが発病した記録が残っており、各国の疫学データでは発症率が人口の1%前後となっている。

昔は「子供の病気」とされていたが、近年の調査研究で、老若男女関係なく発症する可能性があるとの見解も示され、80歳を過ぎてから発病した報告例もある。

疾患の原因は脳の損傷や神経の異常とみられている。
原因が分かったものを症候性てんかん、分らないものを真性てんかんという。

てんかん発作の原因としては、出産前後の酸素不足、頭部外傷、脳卒中、脳の感染症、脳の発生異常、てんかんに関連した遺伝子の異常などがある。これに発作を誘発する因子(光刺激、過呼吸、精神的ストレス、身体的ストレス、睡眠不足、月経周期に関連したホルモンの変動、ある種の投薬など)が加わることで発作が起きる。

てんかん発作を持つ人でもその7割以上は発作が完全に抑制されており、とくに問題のない健全な生活を営むことが出来る。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%8B%E3%82%93