ジェネリック薬の抗タウ活性と MOアナリシス
(1高崎健康福祉大・薬,2同志社大脳科学研,3徳島大院薬,4群馬大院理工,5DNPファインケミカル宇都宮他)
○鳥澤保廣1,村上孝1,藤田有紀2,杉本八郎2,笠原真一郎3,伊藤智広3,根本尚夫3,
堀内宏明4,高橋康弘5,門馬良成5
【目的】 ジェネリック医薬品にはアルツハイマー(AD)治療薬候補となる プレイオトロピック効果(多面性効果) を有するものが知られている。 新たなAD根本治療薬の開発が活発に行われる一方で、AD治療を助ける補助療法となるジェネリック薬の活用も重要な課題となっている。特に、活性酸素ラジカル(ROS)との反応性が期待されるジェネリック薬は、ADや慢性化する生活習慣病に対する最も簡便且つ有効な治療法を提供する糸口になると考えられる。(リポジション型創薬)
我々は各種ジェネリック薬のタウSH構造との反応性、即ち水中ラジカル反応性に注目し、ヘテロ環ジェネリック構造の機能解明をめざした検討を行ってきた。即ち、プレイオトロピックなジェネリック骨格(構造)を見極めるために、簡便なタウ阻害アッセイ法(同志社大)を用い、各種ヘテロ環型ジェネリック薬及び、既存の各種色素のタウ凝集阻害活性を調べ、共通する構造単位の探索、解明を行った。以下その経緯と考察について報告する。 特に、高活性化合物の創製をめざした極性カルボン酸誘導体(アシルBGL誘導体)の合成を試みたので、その概略についても報告する。
【結果】 ラジカル型酸化・還元性を有する有望なヘテロ環化合物として、メチレンブルー(MB),リボフラビン(VB2)及びエパルレスタット(EPL)を選別し、特にこれらの3者の活性の差に注目したタウ(セグメント)阻害活性と、各種添加物の効果を考慮した精査を行った。
MBは古典的色素ながら、活性酸素を介した強力なタウ阻害活性を有し、現在AD治療薬としての最終段階の臨床試験が行われている。リボフラビンもMBと似た化学構造を有しラジカル種との反応が認められる分子である。
一方、エパルレスタット(キネダック)はロダニン構造を有するARI(アルドース還元酵素阻害剤)であり、最近になりさまざまなプレイオトロピック効果が報告されている点で注目に値するジェネリック薬である。
再現性の高いチオフラビン(Th-T)バインデイングアッセイに於いて、最も強い活性を示すものがMBであり、EPLは約1/20程度の阻害活性であった。そこで、EPLの高活性化を目指したBGL誘導体合成を行った。現在までのところ、若干の抗タウ活性の向上が認められた。各種添加物効果を考慮し、EPLはMBとは異なる分子メカニズムでタウSHと相互作用することが分かった。EPLは現在市場にある低分子酵素阻害剤(ARI)であり、多くの誘導体合成(ARI活性)も行われている。そこで分子軌道計算による、EPLに特徴的な化学反応性の解明に努めた。
【考察】 抗タウ活性化合物の差異を分子メカニズムで解明することは、ADケモセラピーの重要なガイドラインとなる。 そこで、ラジカル(H・)との反応性に関する上記3化合物のMO計算(LUMO係数比較)を行った。MBやVB2の(H・)ラジカル反応性についてはすでに記述があり、これらが良いH・アクセプターであることは疑いの余地はない。
その一方、EPLとH・との反応性については不明であったので、この点を解明する分子軌道計算を行った。現在までに得られた作業仮説として最も有効な考え方は、タウSH基からのH・(ラジカル種)との反応がロダニン構造で起こり易く、C=S基のSにH・が攻撃する反応が有利であることが示唆されている。これらの知見はEPLの抗酸化効果を示唆するものである。
Tau
Aggregation Inhibition and MO Analysis of the Generic Drugs
Yasuhiro Torisawa1,*, Takashi Murakami1, Yuki Fujita2,
Hachiro Sugimoto2, Shin-ichiro Kasahara3, Tomohiro Itou3,
Hisao Nemoto3,
Hiroaki Huriuch4, Yasuhiro Takahashi5, Yoshinari Monma1.
1 Takasaki
University Health & Welfare, 2 Dousisya University, 3Tokushima
University, 4 Gunma University,
5 DNP Fine Chemicals Utsunomiya, Ltd.,
In order to gain knowledge and find out good generic
structures for Alzheimer chemotherapy, effective tau aggregation inhibition of
some generic drugs is investigated according to the Th-T binding assays
developed by Sugimoto group.
Among others, three interesting heterocyclic compounds
are emerged according to the structures as our targets of immediate concerns;
MB, VB2, and Eparlestat (EPL).
Towards precise mechanistic understanding and enhanced
inhibitory activity, new BGL analogs of Eparlestat are prepared and the
superior activity than EPL itself is revealed.
Based on the MO calculation as well as the present au
assay, we are interested in the radical reactivity of these heterocyclic compounds
for understanding the pleiotropic behavior of each drug. It is realized that
the radical reactivity is well understood by LUMO calculation and furthermore,
it is emphasized here that radical hydrogen (H.) can most likely react with C=S
group of EPL at S atom, indicating EPL is a good H radical acceptor with low
toxicity.
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