■用語解説
1) アミロイドベータタンパク質(Aβ)
アルツハイマー病の脳の異常構造物(老人斑)
2) Aβオリゴマー
Aβが2~30個程度集合した凝集体で、
3) タウタンパク質(タウ)
神経細胞の軸索内に主に存在するタンパク質で、微小管に結合し、
4) カスパーゼ3
アポトーシス(プログラム細胞死)
5) βカテニン
細胞接着に密接な関わりを持ち、
■挿入図と解説
(図1)実験方法
ラット初代培養神経細胞を、培養開始9日目に、Aβオリゴマー( Aβ-O、2.5μM)で2日間処理した(Ⅰ)。その後、 一方は同処理を継続(Ⅱ)、他方はAβオリゴマーを除去し(Ⅲ) 、さらに2日間培養した。無処理の細胞を対照とした。
(図2)Aβオリゴマーの神経毒性作用の可逆的性質
上図:Aβオリゴマー(Aβ-O)は神経細胞に対して① カスパーゼ3の活性化、② タウタンパク質のリン酸化及び切断の増加、③ βカテニンの異常変化などの毒性的効果を引き起こす。
下図:Aβ-Oが細胞外から除去されると、 その毒性的な影響が著しく減弱し、 細胞内に生じていた神経細胞障害が回復すると考えられる。 Pはリン酸化を示す。 タウの切断にはカスパーゼ3が関与している。
(図3)アルツハイマー病態の回復可能性
アルツハイマー病の初期には、病原的因子Aβオリゴマー(Aβ- O)によってタウ異常、カスパーゼ活性化、 シナプス異常などが引き起こされる。病態が進行すると、老人斑、 神経原線維変化、シナプス減少、 神経細胞脱落などの病理変化が現れる。早期にAβ- Oの蓄積を抑制することにより、病態が回復する可能性がある。
■原論文情報
論文名: The neurotoxicity of amyloid β-ptotein oligomers is reversible in a primary neuron model.
著者: 田之頭 大輔、儘田 直美、山本 詞子、谷口 香織、玉岡 晃*、ラクシュマナ マデパリ**、荒木 亘
* 筑波大学 人間総合科学研究科 神経病態医学分野
** 米国 Torrey Pines Institute for Molecular Studies
掲載誌: Molecular Brain
DOI: 10.1186/s13041-016-0284-5
URL:
※
■助成金
本成果は、主に以下の研究助成を受けて行われました。
・日本学術振興会 科研費 基盤研究(C)
「 アルツハイマー病態におけるBACE1発現異常及びシナプス変性 の分子機序」
・精神・神経疾患研究開発費(28-9)
・国際共同研究グラント(支援機関:米国Torrey Pines Institute for Molecular Studies)
・精神・神経疾患研究開発費(28-9)
・国際共同研究グラント(支援機関:米国Torrey Pines Institute for Molecular Studies)
■お問い合わせ先
【研究に関するお問い合わせ】
荒木 亘(あらき わたる)
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国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所
疾病研究第六部 室長
〒187-8502 東京都小平市小川東町4-1-1
Tel:042-341-2711(代表) Fax:042-346-1747
Email:
【報道に関するお問い合わせ】
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
総務課 広報係
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1
TEL:042-341-2711(代表) Fax: 042-344-6745
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