2015年2月13日金曜日

ピルフェリドン(ピレスパ)

ピルフェニドンは新規の抗線維化薬である.

動物実験では各種線維化疾患モデルで各臓器における

明らかな線維化の減少と機能低下の抑制が認められている.

 

ブレオマイシン誘発肺線維症モデルでは,

ステロイドであるプレドニゾロンとの比較により,

プレドニゾロンは抗炎症作用のみを示したのに対し,

本薬は抗炎症作用と抗線維化作用の両方を示した.

 

種々の検討からピルフェニドンは,

炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6等)の産生抑制と

抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し,

Th1/2バランスの修正につながるIFN-γの低下の抑制,

 

線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1,b-FGF,PDGF)

の産生抑制を示すなど,各種サイトカインおよび増殖因子

に対する産生調節作用を有することが示されている.

 

また,線維芽細胞増殖抑制作用やコラーゲン産生抑制作用

も有しており,これらの複合的な作用に基づき

抗線維化作用を示すと考えられる.

 

 

本邦において実施された

特発性肺線維症(IPF:Idiopathic Pulmonary Fibrosis)患者

を対象とした第III相試験の結果,

ピルフェニドン投与によりプラセボ群に比べ

有意に肺機能検査VC(肺活量)値の悪化を抑制し

無増悪生存期間の延長に寄与していたことから,

特発性肺線維症の進行を抑制することが示された.

 

一方,本薬投与による特徴的な副作用は,

光線過敏症,胃腸障害(食欲不振,食欲減退),

γ-GTP上昇等であった.

 

ピルフェニドンが特発性肺線維症患者に対して

一定の効果を示したことにより,副作用の発現は

プラセボ群に比べ高かったものの,減量・休薬等で

副作用をコントロールし治療を継続することで,

病態の進行を抑制し生命予後の改善にも

寄与することが期待される.