2014年5月11日日曜日

癌免疫療法の副作用=自己免疫疾患

◇ 縁遠い 遠藤先生の 免疫療法 ◇
癌免疫療法の副作用としての 自己免疫疾患
とうに60を過ぎた 私にはもはや、必要ないものが
美食と 高価で効果のない=抗癌剤。
せいぜいTS-1くらいが ベスト=フェイバリット。...
痛みが出たら、ロキソニンか セレコキシブ
おなかに来たら ヤクルト+ 海老御酢。

しかしながら、私より20歳も年上の 遠藤大先生は
いまだに、<癌免疫療法> にのめり込んでいる、
真の薬学研究者だ; 以下が えんどうまめの まめな話。

がん免疫療法は今や期待の星ですが、
人間の体にとって最も複雑な免疫系をいじるだけに
最も難しい療法だなとは思っていましたが、
案の定、以下の通りです。
(大野忠夫博士 「セルメディシン株式会社」
( tkb-lab@cell-medicine.com )のメールマガジン
「セルメディシンニュース No.208 (2014.05.08)」)

免疫チェックポイント阻害剤による副作用、<重症筋無力症>の発生

体内の異常細胞を常時監視し異常細胞(がん細胞もその一種です)を殺す キラーT細胞 は、過剰に活性化しすぎて暴走しないように、
自分の細胞表面にブレーキ役となるいくつかの分子を発現しています。

 これらを総称して、「免疫チェックポイント」と言っていますが、
その代表的なものに、

--------------
  (1)キラーT細胞が活性化の指令を受け取る樹状細胞と接触して、
がん抗原情報を受け取るとき、T細胞側が過剰に活性化しないように
ブレーキとなるシグナルをT細胞内に送り込む
T細胞表面分子・CTLA-4

  (2)キラーT細胞が標的となる異常細胞と接触して抗原が標的細
胞にあると認識するとき、T細胞側が過剰に活性化しないようにブレ
ーキとなるシグナルをT細胞内に送り込む
T細胞表面分子・PD-1、

(PD-1に結合する相手方の分子・PD-L1ががん細胞側にあることが多
 く、キラーT細胞の活性にブレーキをかけるため、がん細胞が殺さ
 れずに増えてしまう)、

などがあります。

免疫チェックポイント阻害剤の第1号として米国で承認されていた
<イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)>は、
 
メラノーマに良く効く薬として、
米国で急速に普及し始めていますが、ついに、2014年4月28日付の
J Clin Oncol誌に、最も心配されていた副作用:
<自己免疫疾患の一つ「重症筋無力症」が発生した>との症例報告が出されました (Ref. 1)。

抗CTLA-4抗体でキラーT細胞表面分子CTLA-4をふさぎ、T細胞活性
化防止ブレーキを外してしまうと、過剰な活性化が起こり、T細胞が
自己の正常細胞まで傷害して、自己免疫疾患を発生させてしまうこ
とが、イピリムマブ承認前から知られていましたが、恐るべき自己
免疫疾患「重症筋無力症」まで発生させてしまうことが明らかにな
ったのです。

この点から推定しますと、自己免疫反応による副作用が比較的少
ないとされている抗PD-1抗体(ニボルムマブもその一つです)でも、
この「重症筋無力症」が発生しないとは言い切れません。PD-1分子
の結合相手となるがん細胞側にあるPD-L1分子に、覆いかぶさって
ふさぐ作用をする抗PD-L1抗体では、既に「重症筋無力症」が発生し
ているからです(Ref. 2)。

 免疫チェックポイント阻害剤は、「がん免疫療法の当面の主役」
として非常に期待されていますが、その臨床応用には十二分な慎重
さが求められます。
 
Reference

1. Johnson DB, et al. Myasthenia Gravis Induced by Ipilimumab
in Patients With Metastatic Melanoma. Published Ahead of Print
on April 28, 2014 as 10.1200/JCO.2013.51.1683
( http://jco.ascopubs.org/content/early/2014/04/28/JCO.2013.51.1683 )

2. Brahmer JR, et al. Safety and activity of anti-PD-L1 antibody
in patients with advanced cancer. N Engl J Med. 2012 Jun 28;366
(26):2455-65. doi: 10.1056/NEJMoa1200694. Epub 2012 Jun 2.
( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22658128 )



  しかし、如何に難しくとも、
癌の外科的切除療法、化学療法、放射線療法が万全ではないだけに、
免疫療法は、益々慎重にではあっても、
 
更に懸命に追究して行かなければならないことは確かです。
もっと見る

0 件のコメント:

コメントを投稿