ピルフェリドン(ピレスパ)
ピルフェニドンは新規の抗線維化薬である.
動物実験では各種線維化疾患モデルで各臓器における
明らかな線維化の減少と機能低下の抑制が認められている.
ブレオマイシン誘発肺線維症モデルでは,
ステロイドであるプレドニゾロンとの比較により,
プレドニゾロンは抗炎症作用のみを示したのに対し,
本薬は抗炎症作用と抗線維化作用の両方を示した.
種々の検討からピルフェニドンは,
炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6等)の産生抑制と
抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し,
Th1/2バランスの修正につながるIFN-γの低下の抑制,
線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1,b-FGF,PDGF)
の産生抑制を示すなど,各種サイトカインおよび増殖因子
に対する産生調節作用を有することが示されている.
また,線維芽細胞増殖抑制作用やコラーゲン産生抑制作用
も有しており,これらの複合的な作用に基づき
抗線維化作用を示すと考えられる.
本邦において実施された
特発性肺線維症(IPF:Idiopathic
Pulmonary
Fibrosis)患者
を対象とした第III相試験の結果,
ピルフェニドン投与によりプラセボ群に比べ
有意に肺機能検査VC(肺活量)値の悪化を抑制し
無増悪生存期間の延長に寄与していたことから,
特発性肺線維症の進行を抑制することが示された.
一方,本薬投与による特徴的な副作用は,
光線過敏症,胃腸障害(食欲不振,食欲減退),
γ-GTP上昇等であった.
ピルフェニドンが特発性肺線維症患者に対して
一定の効果を示したことにより,副作用の発現は
プラセボ群に比べ高かったものの,減量・休薬等で
副作用をコントロールし治療を継続することで,
病態の進行を抑制し生命予後の改善にも
寄与することが期待される.
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