2020年7月24日金曜日

コロナ時代の 薬理学 (休日の薬理学=まとめ)

★ コロナ時代の薬理学 ②  【すっきりした薬理学】 今日の7月の曇天とはうらはらに、コロナの薬理学に関しては比較的すっきりとした結果も集まっている。 今月の薬理学と創薬の進歩として、コンピューターシミュレーションにおいての知見が多数蓄積された。 今後に示唆を与える朗報も集まりつつある現状を以下に冗長ながらまとめる。 ① スパコンによる創薬計算化学の知見。 京大研究者によって、抗コロナ活性を有する化合物の選別が行われ、約30種類の候補化合物(=ウイルスプロテアーゼ阻害剤)が選定された。計算シミュレーション(推測)の段階であるが、その結果は速報された。詳細は開示されていないがこれまで報道されてきたものが含まれるというところが結論であり、驚きはなかった。こういうシミュレーションにより、既知の化合物を篩い分けるのはいとも簡単なようであるが、何が本当に良いか、コンピューターは教えない。そして人々は欲の谷間をさ迷う。 ② スパコンではない計算シミュレーション結果が幾つか論文発表されていた。その結果はきわめて単純である。期待される候補化合物=メインプロテアーゼ阻害剤には次の官能基がある。 (https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2211-5463.12875) A. 二つ以上の環構造(縮合芳香環又はビアリル構造)が好ましい。 B. 極性基として、水酸基またはカルボキシル基をもつものが良い。 C. アミド結合または、回転自由な酸素、窒素、水素を持つものが良い。 有望候補化合物としては、ナファモスタット、セピモスタット、カモスタットなどの酵素阻害剤がヒットした。これらスタット系医薬品は、セピモスタットを除き治験研究にある。 さらに、より単純な医薬品として次のような注目すべきものが指摘されている。 【サルファ剤】; 【NSAIDs】;【抗炎症薬】;【H2ブロッカー】;【睡眠導入薬】 NSAIDsの中でも、ナプロキセンやメロキシカムが注目されている。上記FEBS論文中で特に興味深いのは、新しい不眠症改善薬:ゾビクロン(エスゾビクロン)が選択された点である。ルネスタやマイスリー、アモバン等の非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬は、酵素阻害構造であることが、示唆された。 加えて、天然有機化合物としては、幾多のおなじみの化合物群ではあるが 【クルクミン】;【ベルベリン】;【グリチルリチン】;【バイカリン】  などが選ばれたがこれらの天然物は、すでに認知症治療薬候補にも挙がったものである。 その他多数がヒット化合物として指摘されている。 関連し、最も興味深いのはACE2阻害作用が認められているペプチド群があり、 特には 大豆味噌成分の 【ニコチアナミン】 などが選ばれている。 以上の化学的知見に加え、多くの医学的コメントがあるが、すっきりしたものは少ない。 ③ 最新エビデンスの収集。実際に治療現場にいる医師からの貴重なコメントであるが、おおむね辛口コメントであり、過渡的見解であるが、レムデシビルとデキサメタゾンの使用に対して好意的であるが、これは一般報道的コメントと等価なものである。 同医師による後遺症についてのコメントもある: https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/ ④ アビガンの顚末。この間、日本が期待するアビガンの治験も大学病院で行われたが、有効性を明確に示す結果は得られなかったということになった。しかしながら、アビガンとフサン(ナファモスタット)の併用による治療効果(軽快)が報告された。前述のように、プロテアーゼ阻害剤のフサンや類似のセピモスタット、カモスタットには今まさに注目が集まっている。 ⑤ これまでの薬学的観点からの議論で、最もすっきりとした結論が得られているのは、漢方薬の領域であり、以下の3種類の超古典的処方やその代用品が、それなりの支持を得ているし効果も発揮している。これは漢方に関する古い記述が的を得ていたことを示している。【柴葛解肌湯=スペイン風邪にも効いた】【麻杏甘石湯】【小柴胡加桔梗石膏】 などが現在薬剤師に最も支持を得ているし、含有生薬が一般的なもので、酷似しているところが面白い。 人類がウイルス疾患に対して無力でなかったことを示す今に生きる遺産である。 漢方薬以外のこれまでの国内外の議論で最も信頼性が高く示唆に富むものは、シクレソニドとデキサメタゾンの治療効果と考えられる。即ち今月の主役として古典的合成ステロイドの構造活性が重要な論点となっている。暫定的な考えでは、デキサメタゾンと類似骨格を有する一般的ステロイド薬は現在も最もよく用いられており、入手容易なものが薬局の棚に沢山ある。即ち 【プレドニゾロン】 【モメタゾン】 【フルチカゾン】【ペタベタゾン】 等にもそれなりの効果が期待できるとみなせる。今月末、デキサメタゾンがコロナ治療薬として認められたので、これまでの経緯をまとめておく。 【シクレソニドとデキサメタゾン】  日本でシクレソニド(オルベスコ)の朗報が伝えられたのは、3月上旬のクルーズ船救急対応の臨床記録(@足柄上病院)であった。その3か月後、吸入ステロイド薬【シクレソニド】と同じ仲間の、より古いありふれた合成ステロイド:【デキサメタゾン】でも新型コロナ有効であることが英国から報告された。この英国での発見は、藁にもすがりたい英国民のために、英国保健相が大々的にマスコミ報道をした。すでに英国では、集団免疫作戦に頓挫し、皇太子に次いで首相も感染し、特にジョンソン首相の場合は、生死の境をさ迷った。国家的屈辱のような事態だったから、まさにデキサメタゾンは、救世主のように映った。 構造薬理学の視点からは、事実は極めて明快である。即ち、シクレソニドとデキサメタゾンは基本的化学構造がほぼ同一であり、主な違いはその適用(投薬)方法の違いである。この辺の比較についても、Wikipediaあたりを参考にすれば、一目瞭然である。 即ち、シクレソニドは局所吸入ステロイド薬であって、現代の喘息治療に特化されたプロドラッグ型ステロイド薬である。一方デキサメタゾンは、1950年代から使われている幅広い抗炎症作用を示す合成ステロイドであり、内服薬(デカドロン)又は外用薬(口腔内軟膏やメサデルム軟膏等)が多数あり、比較的長い作用時間が期待されているところが、特長である。デキサメタゾンは最も古いステロイド薬:プレドニゾロン(プレドニン)と極めて類似した構造を有する(違いはメチル基1個)。なので、プレドニゾロンにも十分抗コロナ活性は期待できる。 シクレソニドとデカドロン(そしてプレドニゾロン)の薬理学上の重要な構造=ファーマコフォアは、多環縮環構造とそれに固定された極性官能基である。 興味深いことに、シクレソニドの分子薬理メカニズムとして、群馬パース大学等の研究により、ウイルス核酸複製時の修正酵素の阻害によるものとされている。暫定的推論ではあるが、シクレソニドもデキサメタゾ(そしてプレドニゾロン)ンも同じタイプの酵素阻害活性があるものと考えて薬理学的な理解としておきたい。(2020年7月) ステロイド薬は、コロナ感染において重要な局面となるサイトカイン・ストームに対して有効であると考えられる。これらステロイド薬は、現在でも、自己免疫疾患の治療では第一選択薬であり、ステロイド・パルス療法として、大量投与が行われている。また、重篤な腎臓病に於いてもパルス療法が用いられることがある。単純な期待であるが、ステロイドやNSAIDsなどの抗炎症薬は、安価で大量投与できるものなので、高価なレムデシビルや将来のワクチン等にたよらなくてよい、古典薬=ビンテージ薬主体の予防と治療手段としての価値を増すものと思われる。 (来月に 続く)

コロナ時代の 薬理学 (7月23日)

★コロナ時代の薬理学 【休日の薬理学=まとめ】


7月の曇天とはうらはらに、コロナの薬理学に関しては
比較的すっきりとした結果も集まっている。

今月の薬理学と創薬の進歩はコンピューターシミュレーションにおいての知見が多数蓄積された。

今後に示唆を与える朗報も集まりつつある現状を冗長ながらまとめる。


① スパコンによる創薬計算化学の知見。 京大研究者によって、抗コロナ活性を有する化合物の選別

が行われ、約30種類の候補化合物(=ウイルスプロテアーゼ阻害剤)が選定された。

計算シミュレーション(推測)の段階であるが、その結果は速報された。

詳細は開示されていないがこれまで報道されてきたものが含まれるというところが結論であり、

驚きはなかった。


こういうシミュレーションにより、既知の化合物を篩い分けるのはいとも簡単なようであるが、何が本当に良いか、コンピューターは教えない。そして人々は欲の谷間をさ迷う。



② スパコンではない計算シミュレーション結果が幾つか論文発表されていた。その結果はきわめて単純である。期待される候補化合物=メインプロテアーゼ阻害剤には次の官能基がある。

 
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/…/10.1…/2211-5463.12875


A.二つ以上の環構造(縮合芳香環又はビアリル構造)が好ましい。
B.極性基として水酸基またはカルボキシル基をもつものが良い。
C.アミド結合または回転自由な酸素、窒素、水素を持つものが良い。

有望候補化合物としては、ナファモスタット、セピモスタット、カモスタットなどの酵素阻害剤がヒットした。これらスタット系医薬品は、セピモスタットを除き治験研究にある。
さらに、より単純な医薬品として次のような注目すべきものが指摘されている。
【サルファ剤】;【NSAIDs】;【抗炎症薬】;【H2ブロッカー】;【睡眠導入薬】

NSAIDsの中でも、ナプロキセンやメロキシカムが良い。

上記FEBS論文中で特に興味深いのは、新しい不眠症改善薬:ゾビクロン(エスゾビクロン)

が選択された点である。
ルネスタやマイスリー、アモバン等の非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬は、酵素阻害構造であることが、示唆されたのは 面白い。

さらに天然有機化合物としては、幾多のおなじみの化合物群ではあるが
【クルクミン】;【ベルベリン】;【グリチルリチン】;【バイカリン】 
などが選ばれたがこれらの天然物は、すでに認知症治療薬候補にも挙がったものである。

バイカリン、クルクミン、ベルベリンはいずれも漢方生薬中の有効成分である。


ここで特に興味深いのはACE2阻害作用が認められているペプチド群があり、特には 大豆味噌成分の 【ニコチアナミン】 などが選ばれている。


以上の化学的知見に加え、多くの医学的コメントがあるが、すっきりしたものは少ない。

③ 最新エビデンスの収集。実際に治療現場にいる医師からの貴重なコメントであるが、おおむね辛口コメントであり、過渡的見解であるが、レムデシビルとデキサメタゾンの使用に対して好意的であるが、これは一般報道的コメントと等価なものである。 同医師による後遺症についてのコメントもある: https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/

④ アビガンの顚末。この間、日本が期待するアビガンの治験も大学病院で行われたが、有効性を明確に示す結果は得られなかったということになった。しかしながら、アビガンとフサン(ナファモスタット)の併用による治療効果(軽快)が報告された。前述のように、プロテアーゼ阻害剤のフサンや類似のセピモスタット、カモスタットには今まさに注目が集まっている。


⑤ これまでの薬学的観点からの議論で、最もすっきりとした結論が得られているのは、漢方薬の領域であり、以下の3種類の超古典的処方やその代用品が、それなりの支持を得ているし効果も発揮している。これは漢方に関する古い記述が的を得ていたことを示している。


【柴葛解肌湯=スペイン風邪にも効いた】【麻杏甘石湯】【小柴胡加桔梗石膏】 


などのいわゆる 柴胡剤 が現在薬剤師に最も支持を得ているし、含有生薬がごく一般的なもので、酷似しているところが面白い。


人類がウイルス疾患に対して無力でなかったことを示す今に生きる遺産である。


漢方薬以外のこれまでの国内外の議論で最も信頼性が高く示唆に富むものは、シクレソニドとデキサメタゾンの治療効果と考えられる。即ち今月の主役として古典的合成ステロイドの構造活性が重要な論点となっている。暫定的な考えでは、デキサメタゾンと類似骨格を有する一般的ステロイド薬は現在も最もよく用いられており、入手容易なものが薬局の棚に沢山ある。即ち 【プレドニゾロン】 【モメタゾン】 【フルチカゾン】【ペタベタゾン】 等にもそれなりの効果が期待できるとみなせる。今月末、デキサメタゾンがコロナ治療薬として認められたので、これまでの経緯をまとめておく。


【シクレソニドとデキサメタゾン】  日本でシクレソニド(オルベスコ)の朗報が伝えられたのは、3月上旬のクルーズ船救急対応の臨床記録(@足柄上病院)であった。その3か月後、吸入ステロイド薬【シクレソニド】と同じ仲間の、より古いありふれた合成ステロイド:【デキサメタゾン】でも新型コロナ有効であることが英国から報告された。この英国での発見は、藁にもすがりたい英国民のために、英国保健相が大々的にマスコミ報道をした。すでに英国では、集団免疫作戦に頓挫し、皇太子に次いで首相も感染し、特にジョンソン首相の場合は、生死の境をさ迷った。国家的屈辱のような事態だったから、まさにデキサメタゾンは、救世主のように映った。
構造薬理学の視点からは、事実は極めて明快である。即ち、シクレソニドとデキサメタゾンは基本的化学構造がほぼ同一であり、主な違いはその適用(投薬)方法の違いである。この辺の比較についても、Wikipediaあたりを参考にすれば、一目瞭然である。

即ち、シクレソニドは局所吸入ステロイド薬であって、現代の喘息治療に特化されたプロドラッグ型ステロイド薬である。一方デキサメタゾンは、1950年代から使われている幅広い抗炎症作用を示す合成ステロイドであり、内服薬(デカドロン)又は外用薬(口腔内軟膏やメサデルム軟膏等)が多数あり、比較的長い作用時間が期待されているところが、特長である。デキサメタゾンは最も古いステロイド薬:プレドニゾロン(プレドニン)と極めて類似した構造を有する(違いはメチル基1個)。なので、プレドニゾロンにも十分抗コロナ活性は期待できる。


シクレソニドとデカドロン(そしてプレドニゾロン)の薬理学上の重要な構造=ファーマコフォアは、多環縮環構造とそれに固定された極性官能基である。
興味深いことに、シクレソニドの分子薬理メカニズムとして、群馬パース大学等の研究により、ウイルス核酸複製時の修正酵素の阻害によるものとされている。暫定的推論ではあるが、シクレソニドもデキサメタゾ(そしてプレドニゾロン)ンも同じタイプの酵素阻害活性があるものと考えて薬理学的な理解としておきたい。(2020年7月)

ステロイド薬は、コロナ感染において重要な局面となるサイトカイン・ストームに対して有効であると考えられる。これらステロイド薬は、現在でも、自己免疫疾患の治療では第一選択薬であり、ステロイド・パルス療法として、大量投与が行われている。また、重篤な腎臓病に於いてもパルス療法が用いられることがある。


単純な期待であるが、ステロイドやNSAIDsなどの抗炎症薬は、安価で大量投与できるものなので、高価なレムデシビルや将来のワクチン等にたよらなくてよい、古典薬=ビンテージ薬主体の予防と治療手段としての価値を増すものと思われる。




(来月に 続く)

2018年11月2日金曜日

Green Peptide Synthesis 2018


Research Article



Microwave-Assisted Green Solid-Phase Peptide Synthesis Using γ-Valerolactone (GVL) as Solvent

School of Chemistry and Physics, University of KwaZulu-Natal, University Road, Westville, Durban 4001, South Africa
Catalysis and Peptide Research Unit, School of Health Sciences, University of KwaZulu-Natal, University Road, Westville, Durban 4001, South Africa
§ CEM Corporation, 3100 Smith Farm Road, Matthews, North Carolina 28104, United States
Department of Organic Chemistry, University of Barcelona, Martí i Franqués 1-11, Barcelona 08028, Spain
CIBER-BBN, Networking Centre on Bioengineering, Biomaterials and Nanomedicine, Barcelona Science Park, Baldiri Reixac 10, Barcelona 08028, Spain
# KRISP, College of Health Sciences, University of KwaZulu-Natal, Durban 4001, South Africa
ACS Sustainable Chem. Eng., 2018, 6 (6), pp 8034–8039
DOI: 10.1021/acssuschemeng.8b01531
Publication Date (Web): April 29, 2018
Copyright © 2018 American Chemical Society

Synopsis

A combination of nature and technology, helping to make greener the synthesis of peptides, is reported.

Abstract


Abstract Image
 
 
 
The increasing demand for synthetic peptides in various research fields raises a challenge, namely, the development of greener methods for their preparation. Here we report on an ecofriendly solid-phase peptide synthesis (SPPS) methodology. Substitution of the hazardous solvent DMF by the biomass-derived organic solvent γ-valerolactone (GVL), together with the application of microwave-assisted automated SPPS, allowed the synthesis of peptides with a wide range of lengths and high purity using polystyrene- and polyethylene-glycol-based resins. The yields achieved were comparable to those obtained with standard methodologies. To date, this is the greenest approach reported in terms of the solvent used, waste generated, and energy efficiency.
The Supporting Information is available free of charge on the ACS Publications website at DOI: 10.1021/acssuschemeng.8b01531.
  • HPLC and MS data of the synthesized peptides (PDF)

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Received 4 April 2018
Published online 29 April 2018
Published in print 4 June 2018
+

2018年10月31日水曜日

Ni- Coupling @ ACS 2018


Ni-Catalyzed Cross Coupling @ ACS


https://search.yahoo.co.jp/search;_ylt=A2RiWbTGaNlb238Ajluj_AF8?p=Ni+Coupling+ACS&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=-1&oq=ni+coupling+acs&at=&aa=&ai=wCPXeR8TT8K4xYihoNrfBA&ts=18204&mfb=1678_69x

Ni - & Fe- Catalyzed Coupling 2013~


Review




Ni- and Fe-Catalyzed Cross-Coupling Reactions of Phenol Derivatives

Department of Chemistry and Biochemistry, University of California, Los Angeles, California 90095, United States
Org. Process Res. Dev., 2013, 17 (1), pp 29–39
DOI: 10.1021/op300236f
Publication Date (Web): December 11, 2012
Copyright © 2012 American Chemical Society

Abstract



Abstract Image
 
 
 
This review describes our laboratory’s efforts to develop transition metal-catalyzed cross-couplings of several unconventional phenol-based electrophiles. Specifically, we highlight herein the following four key transformations: (a) nickel-catalyzed Suzuki–Miyaura couplings of aryl pivalates, carbamates, and sulfamates to construct sp2–sp2 C–C bonds; (b) iron-catalyzed Kumada couplings of aryl carbamates and sulfamates for the assembly of sp2–sp3 C–C bonds; (c) nickel-catalyzed amination reactions of carbamates and sulfamates to build aryl C–N bonds; and (d) nickel-catalyzed reductive cleavage reactions of aryl carbamates to achieve aryl deoxygenation and a rare method for cine substitution. We expect this review will enable the greater use of unconventional phenol-based cross-coupling electrophiles in industrial settings.

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Received 28 August 2012
Published online 11 December 2012
Published in print 18 January 2013

Review


Ni- and Fe-Catalyzed Cross-Coupling Reactions of Phenol Derivatives

Department of Chemistry and Biochemistry, University of California, Los Angeles, California 90095, United States
Org. Process Res. Dev., 2013, 17 (1), pp 29–39
DOI: 10.1021/op300236f
Publication Date (Web): December 11, 2012
Copyright © 2012 American Chemical Society

Abstract

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This review describes our laboratory’s efforts to develop transition metal-catalyzed cross-couplings of several unconventional phenol-based electrophiles. Specifically, we highlight herein the following four key transformations: (a) nickel-catalyzed Suzuki–Miyaura couplings of aryl pivalates, carbamates, and sulfamates to construct sp2–sp2 C–C bonds; (b) iron-catalyzed Kumada couplings of aryl carbamates and sulfamates for the assembly of sp2–sp3 C–C bonds; (c) nickel-catalyzed amination reactions of carbamates and sulfamates to build aryl C–N bonds; and (d) nickel-catalyzed reductive cleavage reactions of aryl carbamates to achieve aryl deoxygenation and a rare method for cine substitution. We expect this review will enable the greater use of unconventional phenol-based cross-coupling electrophiles in industrial settings.

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Received 28 August 2012
Published online 11 December 2012
Published in print 18 January 2013